目次

はじめに

想定している読者
開発環境
表記、用語/商品名など
リポジトリとサポートについて
表記関係と免責事項について
底本について

第1章 スマートスピーカーのことをよく知ろう

1.1 スマートスピーカーとの出会いときっかけ
1.2 利用者(ユーザー)とやりたいことをまとめよう
1.3 各実現方法の違いや特徴を確認しよう
1.4 実装に向けた準備として「台本」を検討しよう
1.5 まとめ

第2章 スマートスピーカーを子育てに活用するための準備をしよう

2.1 全体構成図
2.2 Google Homeの設定・構築
2.3 Amazon Echoの設定、構築
2.4 まとめ

第3章 スマートスピーカーを育てて子育てに活用しよう

3.1 ミルクの量管理システム
3.2 緊急地震速報放送システム
3.3 連絡やりとりシステム
3.4 トイレトレーニングシステム
3.5 好きな番組の放送日・内容確認システム
3.6 お楽しみ足し算ゲーム
3.7 失敗談
3.8 まとめ

第4章 スマートスピーカーを今後も活用しよう

4.1 子どもの成長に合わせて機能を追加する
4.2 かゆいところに手が届くような便利機能を拡充する
4.3 手を出していない領域と連携する
4.4 そして……

付録

A.1 ミルクの記録サンプル
A.2 トイレの記録サンプル
A.3 AWS IoT EnterpriseボタンによるDynamoDBへの書き込みサンプル
A.4 お外トイレ登録サンプル
A.5 登録されているメッセージを聞き出すサンプル
A.6 APIGatewayを経由しDynamoDBへ書き込むHTMLフォーム例

あとがき

はじめに

 この度は本書を手に取っていただきありがとうございます。

  

 皆さんのスマートスピーカーとの出会いはどのようなものだったのでしょうか。これからスマートスピーカーを買うぞ!という方も、発売されてすぐに買って使いこなしているぜ!という方も、買ったはいいがタンスの肥やしにしているよ……という方も、一度はこのスマートスピーカーという無限の可能性を秘めたものに、心惹かれたのだと思います。

  

 筆者は男の子と女の子、二人の子どもたちの子育て真っ最中です。二人の日々の成長を見ていると、子どもは無限の可能性を秘めているなぁと、常々、感心しています。そんな日々の子育てにスマートスピーカーを取り入れ、役立てています。前述のとおり、スマートスピーカー自体も無限の可能性を秘めており、育て方(使い方)ひとつでいくらでも成長できる、もう一人の子どものようにも感じています。

 あるWebの記事では、国内で販売されているスマートスピーカーについて、この機種は秘書のような存在、この機種は親友や家族のような存在……といった具合に「個性」があると記述されていました。

 そんな無限の可能性を秘め、個性豊かなスマートスピーカーと一緒に日々の生活をもっと楽しんでいけたらと思います。また、本書がそのお手伝いや気づきの一端になれると嬉しいです。

想定している読者

 本書では、次のような読者像を想定しております。

 ・スマートスピーカーが気になるぞ!

 ・スマートスピーカーを買ったはいいが、すでにタンスの肥やし……

 ・Google Homeを自発的に発声させられるようにしたが、そこで止まっている……

 ・AWSが大好きなので、Amazon Echo/Alexaで何かしたい!

 ・子育て中のお父さん、お母さん

 ・ITと教育で世の中を変えたい方

 次の製品や技術、サービスを利用した経験があると理解が早いですが、なくても特に問題はありません。一緒に楽しみましょう。

 ・Raspberry Pi

 ・Node.js

 ・Google App Scripts(GAS)

 ・Firebase

 ・Python

 ・IFTTT

 ・Amazon Web Services(AWS)

 ・AWS Lambda

 ・Amazon Alexa

 ・Amazon DynamoDB

 ・API Gateway

 ・Twitter

 ・LINE

開発環境

 本書でご紹介している各種システムは、次の機器で開発・運用、確認をしております。

 ・開発用コンピューター

  ─MacBookPro/w TouchBar(macOS X High Sierra)

  ─自作PC(Windows10)

 ・自宅サーバー

  ─Raspberry Pi 3(Raspbian 9.3)

 ・スマートスピーカー

  ─Google Home Mini

  ─Amazon Echo Dot(/w Alexa SDK バージョン1)

  ─Amazon Echo Spot(/w Alexa SDK バージョン1)

表記、用語/商品名など

 本書では、特記していない限り、用語や商品名を次のように表記しています

表1: 商品名などの表記
表記 用語/商品名など
Google Home  Goole Home/Google Home Mini
Amazon Echo  Amazon Echo/Amazon Echo Dot/Amazon Echo Plus/Amazon Echo Spot
LINE Clova LINE Clova/LINE Clova Friends

リポジトリとサポートについて

 本書に掲載されたコードと正誤表などの情報は、次のURLで公開しています。

 https://github.com/impressrd/support_smartspeaker

表記関係と免責事項について

 本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標、商品名です。会社名、製品名については、本文中では©、®、™マークなどは表示していません。また、筆者の所属する組織の公式見解ではありません。また、スマートスピーカーを開発・販売している各社とも一切関係ありません。本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた開発、製作、運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。

 本書は、2018年5月18日時点で、可能な限り正確な記載になるように努めておりますが、全ての正確性を保証しきるものではありません。よって本書の記載内容に基づいて読者が行った行為、及び読者が被った損害1について、筆者は何ら責任を負うものではありません。また、本文中のサンプルスクリプトは、概ね、エラー時の処理がありません。筆者の環境では問題なく動いていますが、何かトラブルがあった際は、ご相談ください。

底本について

 本書籍は、技術系同人誌即売会「技術書典4」で頒布されたものを底本としています

1. スマートスピーカーが壊れた、AWSから目玉が飛び出る程の請求金額が来た……など

第1章 スマートスピーカーのことをよく知ろう

 今でこそ、どこのご家庭にもあるといっても過言ではない……といえるかはさておいて、スマートスピーカーが普及が徐々にはじまっていると筆者は感じています。我が家にもGoogle Home Mini、Amazon Echo Dot、Amazon Echo Spot、LINE Clover Friendsの4機種を配備しています。皆様のご家庭はいかがでしょうか。

 我が家では、このスマートスピーカーを子育てに活用しています。この本ではそのきっかけ、環境構築、活用事例、そして失敗談などについてまとめました。少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

1.1 スマートスピーカーとの出会いときっかけ

 2017年秋、GoogleやAmazon、LINEといった各社からスマートスピーカーが日本国内で発売されました。今でこそ色々と活用していますが、当初はまったく興味を持てませんでした。

  

 「声を出して操作するなんて恥ずかしい」

  

 これについては、実際にスマートスピーカーの導入を考えられた方なら一度は感じたのではないでしょうか。機械に対して話しかけることに慣れるまでは、本当に小っ恥ずかしかったことを覚えています。そんな小っ恥ずかしさを吹き飛ばしたきっかけをお話しします。

 それは、もうじき3歳になろうとしていた息子を連れてクリスマスプレゼントを探しに、おもちゃも扱う家電量販店へ行った時のことでした。

 突然の動作に、びっくりしながらも、自分が話しかけたことに対して反応があったことに息子は大喜びしました。大人には抵抗があるものでも、子どもは易々と受け入れる姿を目の当たりにし、我が家にGoogle Home Miniを迎え入れることが決まった瞬間でした。

 招き入れた当初は、天気予報や好きな音楽、ラジオを聴いたりと新しい機器を導入したことを楽しんでいました。しかし、それはわざわざスマートスピーカーにやらせなくてもよいことにしか使えていなかったのです。

 機器の近くにいかずとも、リモコンを使わずとも、声で音量の調整や選曲といった操作ができるのは便利でした。ただ、Google Home Miniを配置した居間にはオーディオ機器があり、音楽やラジオが聴けるため、次第に、Google Home Miniを使うことが減っていきました。

 当初は喜び、毎日のように話しかけていた息子ですら、見向きもしなくなっていました。「まーた使わないものを買い込んで、何やってのよ」と、妻の冷たい視線を浴びたのもよく覚えています。

 Google Homeは、自分で機能を開発し利用することができると知っていたものの、そもそも何を作ったらいいんだい?と、悩んでいました。

  

 時を前後して、第二子である娘が生まれました。

 筆者は第一子の息子の頃から、積極的に子育てに取り組んでいます。しかし3年前と現在では筆者自身の仕事内容も変わっており、通勤時間や就業時間の兼ね合いから、子育てへの参画という意味では手薄になっていました。また、上の子がやんちゃ盛りなこともあり、二人分の子育てで妻も疲弊していました。たとえば、新生児は2〜3時間おきに母乳ないしミルクを飲むものですが、毎日繰り返されるその営みで、前回あげたのはいつだったのか、どのくらいあげたのかがわからなくなってしまうことが多々ありました。

 さらに、いうまでもなく赤ちゃんは会話ができません。できることと言ったら泣いて何かしらの不快な状態である旨を伝えることだけです。この泣いているのは、お腹が空いているからなのか?寒いからなのか?それとも暑いからなのか?オムツが気持ち悪いのか?はたまた別の事象なのか?一部を除いて分かりづらいものです。

  

 これが、子どもが一人であれば、授乳後にメモ帳や日記帳、アプリなどに記録することも可能ですが、3歳の誕生日を間近に控えていた息子がいる状況だと簡単にはいきませんでした。

  

 「手が空かないなら、声でメモれるようにすればいいじゃない」

  

 どこかの国のお姫様が言い出しそうなセリフが頭に浮かんできたのはいうまでもありません。これが、スマートスピーカーを子育てに活用しようと考えた第一歩でした。

試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。