私はVue.jsを学習するにあたり、まだまだその技術書が少なく、Vue.jsに限らず入門書と言いながらもわかりにくかったり、不要な情報に振り回されている本が多いと感じました。本書はそのようなことがないよう、極力Vueに関することに重点を置いていきたいと思います。
本書の目的は「Webアプリの実装を通し、Vue3の基本的な動きを理解する」ことです。
JavaScriptを取り巻く環境は、ここ数年で劇的に変わりました。ターゲットは自分のようなエンジニアでありながら、モダンなJavaScriptに置いて行かれた、けれど学びたい人向けです。対象読者は全くのWeb初心者ではなく、JavaScriptの経験があり、後述の「前提」の条件を満たすことのできる人を想定しています。
サンプルとして作成するWebアプリは最終的にWeb上に公開できるところまでを記述していますが、Web上に公開する必要がない、またはしたくない場合は、その操作を省略するだけで続けることができます。
本書は全体を通してひとつのアプリを作成するだけのものと捉えられるかもしれませんが、基本的なものは詰まっておりますので、次のアプリを作成する際の教科書的なものとすることができます。
プログラミング経験者にとって実際に動くものがあるというのは、土台を手に入れたようなものです。そこから応用や他の機能を試すことができます。入門書という一冊を通して、自分の土台作りができるものがあればいいなと思い執筆しました。
構文の説明だけでなくどのような場面で使うのかなど、できる限り実践に即して書いております。Vueの歴史やreactなどとの比較、最初に学ばなくてもよい機能やツールについては触れておりません。それにより、入門には最適なものになったと思っております。
自身が初学者だった気持ちを忘れず、なるべくわかりやすい説明を入れ、最後まで一緒に完走できるように尽くしました。
それでは早速始めていきましょう!
・(必須)Node.js、パッケージマネージャー(npm/yarn)がインストールされていること。
・(任意)使用するエディターは何でもいいのですが、本書はMicrosoft社の「Visual Studio Code」(VSCode)を使用していきます。
※同じエディターを使用していただくことで説明がわかりやすくなる場合があります。
・(Web公開する場合)git(https://git-scm.com)がインストールされていること。
・(Web公開する場合)GitHub(https://github.com)がインストールされていること。
・(Web公開する場合)Vercel(https://vercel.com)のアカウントを持っていること。
※GitHubアカウントでログインしてもらえると、GitHubとVercelの連携がスムーズになります。
Vueでアプリを作るための準備をします。この章ではVueで新規プロジェクトを作り、実際に動くところまでの準備をします。
♦ここで学べること
・Vueプロジェクトの作成
・Vueプロジェクトの開始と終了
参考までに本書の実行環境を紹介します。本書のバージョン以上になるようにしてください。
# ターミナル or コマンドラインで実行
$ node -v
v16.13.0
$ npm -v
8.1.2
$ yarn -v
1.22.10
Vue3インストールは公式に提供されているVue CLIを利用するのが一般的でしたが、本書はVite(ヴィート)を使ってインストールしていきます。
Viteは最近出てきたビルドツールですが、Vueを作ったEvan You氏が開発しており、Vue公式ページにもViteでのインストール方法が記載されています。今後はViteを使っての開発が一般的になることでしょう。今までのビルドツールより、かなり高速に実行することができます。
ターミナルあるいはコマンドラインでプロジェクトを作成したい任意のフォルダーに移動し、以下のコマンドを実行します。プロジェクト名(Webアプリ名)は何でもいいですが、本書では「my-vite-todo」とします。
# npmの場合
$ npm init vite@latest my-vite-todo -- --template vue
# yarnの場合
$ yarn create vite my-vite-todo --template vue
任意のフォルダーにプロジェクト名の「my-vite-todo」フォルダーが生成されていれば、成功です。
それでは、Vueの最初のアプリを動かしてみましょう。以下のコマンドを実行してください。
# npmの場合
$ cd my-vite-todo
$ npm install
$ npm run dev
# yarnの場合
$ cd my-vite-todo
$ yarn
$ yarn dev
これで開発用のサーバーが起動できましたので、ブラウザーを起動し、以下のアドレスにアクセスしてください。
以下のような画面が表示されれば、Vue3アプリの最初の関門は突破できました!
開発用のサーバーを止めるには、ターミナルあるいはコマンドラインで「Ctrl+C」を押下します。次の章から開発用サーバーはVSCodeから動かしていくので、今は止めたままで大丈夫です。