はじめに
第1章 Google Apps Scriptを始めよう
第2章 GAS特有の機能を覚えよう
第3章 よく使う処理を試してみよう
第4章 様々な方法で自動化してみよう
付録A 本書に掲載されているソースコードについて
付録B 認証の操作について
最後に
本書は、あなたの毎日をより快適に自動化し、煩わしい作業からの脱却を手助けしたい、そんな思いから誕生した1冊です。例えば、
・プログラミングを勉強しているけど、その成果を活かす場所がない
・仕事で毎日同じ作業を繰り返すことがとても憂鬱だ
・Google Apps Scriptが気になるが、最初の一歩がなかなか踏み出せない
といった方には、とても有意義に読んでいただけると思います。
また、本書はいわゆる入門書としての側面も備えています。これを機にGoogle Apps Scriptに触れていただければ幸いです。
本書を読めば、次のことが実現できます。
・Google Apps Scriptで何ができるかを知る
・Google Apps Scriptの基本的な学習を行う
・Google Apps Scriptで日常の作業を自動化するための基礎的な知識を得る
ただし、本書は、基礎的な部分までの紹介になるので、最終的にはGoogleの公式リファレンス(https://developers.google.com/apps-script/reference/)と格闘することになります。また、本書と同じくインプレスR&Dより刊行されている「仕事で使える!Google Apps Script」(https://nextpublishing.jp/book/8839.html)も参考になるでしょう。
本書では、基本的なレベルに達するまでのお手伝いができればと考えています。
一般的に、プログラミング言語の入門書といっても定義があいまいで「これは皆さん知ってますよね?」という前提に立って「本当の入門者」を置いてけぼりにしてしまう本もあります。
「業務で使った事がある」とか「大学で学んだ」という人に関しては問題ありませんが、プログラミングをしたことがない人にとってはとても心配だと思います。
そんなことの無いように、「本当の入門者」の皆さんにこれだけは読んでおいてほしいという資料を紹介します。それは、@ITに掲載されている「初心者のためのJavaScript入門」(http://www.atmarkit.co.jp/fcoding/index/js.html )です。全7回の短い連載記事ですが、とても良い資料ですので全くの初心者の方にもわかり易く、参考になると思います。
Googleで検索をすれば、分からないことについては解決する場合があります。たとえば、
・「Google Apps Script ログ 出力」
・「Google Apps Script メール送信」
等で検索すればうまく調べられるでしょう。
また、わからないことがある場合は私にメール(takanakahiko@gmail.com)で聞いてくださればお答えします。気軽に聞いてくださいね。
本書の情報は2018年7月時点のものです。
Google Apps Scriptは非常に仕様の改定が早いので、適宜最新の情報に置き換えつつ読んでみてください。
本書に掲載されたサンプルコードと正誤表などの情報は、次のURLで公開しています。
https://github.com/takanakahiko/GAS_Katsuyou_Nyuumon
サンプルコードの閲覧方法については、付録Aをご確認ください。
本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標、商品名です。会社名、製品名については、本文中では©、®、™マークなどは表示していません。
本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた開発、製作、運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。
本書籍は、技術系同人誌即売会「技術書典2」で頒布されたものを底本としています
本章では、Google Apps Scriptを始めるために必要な知識や作業について解説します。「Google Apps Scriptは面白そうだけど準備が大変そう」といった悩みを解決します。
Google Apps Scriptには機能が豊富にあります。ここでは、まずどのような機能があるかを把握しておきましょう。
Google Apps Script(以降GAS)は、クラウド上でスクリプトを実行することができるサービスです。スクリプトの言語は、JavaScriptをベースとしています。GASの主な特徴は次の3つです。(これ以外にも機能はあります)
1.Googleが提供する11のサービスを扱える
2.外部ドメインにアクセスする関数を持つ
3.スクリプトの実行トリガーがある
この章では、これらについて順を追って説明していきます。
GASでは次のサービスを扱うことができます。
・Googleカレンダー
・コンタクト
・Googleドキュメント
・Googleドライブ
・Goolgeフォーム
・Gmail
・グループ
・Languages
・Googleマップ
・Googleサイト
・Googleスプレッドシート
普通のJavaScriptでは実行できない、GAS特有のメソッドやクラスが用意されています。次に主なものを挙げます。
名前 | 働き |
UrlFetchApp | 外部ドメインのサービスへアクセスし、それを利用することができる |
Charts | グラフ等の図を作成し、利用することができる |
PropertiesService | key-value形式で値を保持し、スクリプト間で使いまわすことができる |
この中でも、UrlFetchAppを使うことで外部ドメインに対してアクセスが可能になります。
Google Apps Scriptは、自分のPCではなくGoogleのサーバー上で動作します。要するに、工夫をすれば自分が寝ているときでも自分でサーバーを用意することなく処理を実行させることが可能になります。
GASには、実行のトリガー(引き金)がいくつか用意されています。
時間を設定してスクリプトを実行できます。「n分毎に実行」といった具合で設定することが可能です。
GASはアプリケーションとしてWEB上に公開することで、固有のURLを持つことができます。「そのURLに対してアクセスが来た時に○○を実行する」といった形で、シンプルにWebアプリケーションを実装することが可能です。これを使えば、「自分のサイトに来客カウンターを設置する」といったことも可能で、幅広く応用できます。
少し専門的な言葉では、WebAPI(後述)を自作することができるといえます。