前書き
第1章 ラズパイのセットアップ
第2章 Edge TPUのセットアップ
第3章 mnistの学習と推論
第4章 リアルタイム物体検出
第5章 AutoML Visionでの学習とモデルの実行
第6章 AutoML Visionでの物体検出の学習とモデルの実行
付録A 動画を画像に変換する
後書き
本書を手に取っていたきありがとうございます。本書ではEdge TPUの使い方をラズパイを使って学んでいくと同時に、環境設定無しで使えるPython環境であるGoogle ColaboratoryやAIの学習を半分自動化してくれるAuto ML等のGoogleが持つ新しいサービスの解説をした内容になっています。なるべくAIの難しい数式には触れずに、どのようにラズパイで動くAIを作っていくかを解説しています。
Edge TPUを使ってみたい人には当然ですが、Googleが提供するAI関連の新しいサービスが気になる方も楽しめる内容となっております。
Google Cloud Next '18(2018年7月)でEdge TPUが発表され、筆者はAIがよりエッジ(コンピュータリソース豊富なクラウドに対して、リソースが貧弱なリアルな世界側)向けに加速すると確信しておりました。本書を執筆するにあたり、リアルタイムの物体検出や画像分類をやってみて、その思いはより強いものになりました。AIがすぐそばまで来ていることを一緒に感じられれば幸いです。
是非、最後までお付き合いいただきますようお願いいたします。
ラズパイは正式名称Raspberry Piという小型のコンピュータで、ラズベリーパイ財団によって開発されています。教育を目的としたコンピュータでしたが、Linuxが動くことと安価に手に入るためちょっとしたシステム開発に利用されることもあります。本書では下のEdge TPUを接続し、ちょっとしたAIを動かすのに利用します。
URL:https://www.raspberrypi.org
Googleが開発しているTensorFlow Liteの推論に特化した集積回路です。AIの開発には大きく分けて2フェーズあり、大量のデータを用いて学習を行うフェーズと、学習した結果を用いて未知なるデータから推論を行うフェーズがあります。Edge TPUは推論のみを行う集積回路で、CPUやGPUを使用するよりも高速に省電力で推論を行える特徴があります。
TPUはTensor Processing Unitの略で学習も推論もできる集積回路です。"Edge"という単語を頭につくことで、よりエッジ側のTPUであることがうかがえます。
本書で使用している機材は以下の通りです。
・Raspberry Pi 3 Model B
・Google Coral Edge TPU USB Accelerator(Edge TPU)
・操作用のパソコン(要SSH接続するツール、イメージファイル書き込みツール、WEBブラウザー、VNCクライアント)
・Google Cloud Platformの課金設定済のプロジェクト
・Raspberry Pi 3 カメラモジュールV2
・LANケーブル
・Wi-Fiルーター
本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた開発、製作、運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。
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本書籍は、技術系同人誌即売会「技術書典」で頒布されたものを底本としています。