まえがき
第1章 Integromatの基礎知識
第2章 Integromatの機能説明
第3章 代表的な連携サービス
あとがき
本書を手に取っていただき、ありがとうございます。この本は、筆者がRPAツールとして愛用しているIntegromatがとてもイケてるので、紹介したくて書きました。Integromatは、IFTTTやZapierと同じiPaaSです。IFTTTやZapierよりもオシャレな見た目が目を引きますが、分岐やエラーハンドリングなど柔軟にロボットを作成できる機能が、フリープランから使用可能です。最近IFTTTが料金改定して、フリープランで使っていくのが厳しくなったこともあるので、この機会にIntegromatが広まると、嬉しく思います。
・iPaaSとは
・Integromatのプラン制限
・Integromatの基本的な使い方
・Integromatが連携している代表的なサービス
・RPA/iPaaSに興味がある方
・フリープランでパワフルなRPA/iPaaSツールを探している方
・Integromatを始めようと思っている方
・URL: https://github.com/srz-zumix/book-integromat
・Mail: zumix.cpp@gmail.com
・Twitter: @srz_zumix 1
Integromatは、iPaaSと呼ばれるアプリケーション統合プラットフォームサービスです。インターネット上の様々なサービスや情報をくっつけて連携することで、作業の自動化や新たなデータ活用ができます。同じiPaaSで有名なサービスには、IFTTTやZapierがあります。
RPA = Robotic Process Automationの略で、広い意味だとロボット(ツールやサービス)が代わりに作業を自動で行うものを指します。デジタルレイバー(仮想知的労働者)と呼ばれたりもします。iPaaS = Integration Platform as a Serviceの略で、複数のアプリケーションを相互接続した統合プラットフォームサービスです。
RPAとiPaaSは似ていますが、狭義のRPAにはアプリケーションとの統合はせず、UI操作の自動化など非接続な状態で自動化を実現しているものも含まれます。iPaaSはそのようなRPAツールとは異なり、アプリケーション連携していることで、より確実かつシンプルなロボットを作ることが可能です。
近年クラウドサービスが普及し、自分のパソコンにインストールしたアプリケーションで作業をすることよりも、クラウド上のサービスを使って作業することが増えてきました。それらクラウドサービスは他のサービスやツールと連携することを想定して、他サービスとデータのやり取りができるようになっていることが多いです。iPaaSはこれらクラウドサービスを簡単に接続、データ連携できるようにしたハブのようなものです。まさにIntegromatがいうように、「インターネットの接着剤」なのです。
これからRPAを導入するなら、iPaaSでRPAを実現しましょう。
iPaaSの強みは、サービス側にデータ連携の口さえあれば、無限に連携可能なところです。逆にいえばインターネットと繋がっていないインストール型のアプリケーションや、ベンダーロックイン状態なアプリケーションとは連携ができないのがデメリットです。また、iPaaSはデータ連携をするので、サービスのUIやページ遷移の変更に強いのもメリットのひとつです。
非iPaaSタイプのRPAツールの強みは、iPaaSではできないアプリケーションとの連携も可能な場合がある点です(可能な場合があるとしたのは、非iPaaSタイプには様々な実装例があるため)。
筆者は基本的にはiPaaSをおすすめしますが、iPaaSではできないケースも当然あるので、適材適所でツールを使い分けましょう。
海外製iPaaSは日本国内のサービスとの連携が乏しいのもデメリットになることがありますが、Integromatは連携していないサービスとも、標準モジュールを組み合わせることで連携可能です。たとえば、HTTPモジュールで認証付きのリクエストを投げ、レスポンスのJSONをパースするだけで連携可能です。
(国産iPaaSも存在はしますが)どういうわけか、国内でRPAというと非iPaaSタイプばかりなのが謎…
Integromatの特徴的機能を紹介します。
Integromatはビジュアル・スクリプトによって視覚的にシナリオを作成でき、どんなデータが、どのように流れ、シナリオが実行されていくのか、リアルタイムに確認ができます。
シナリオ作成はノードエディター上で行い、処理をくっつけていくだけで、簡単に作ることができます。
Integromatにはルーターモジュールやイテレーターモジュールが標準で用意されており、これらのモジュールを使うことで、簡単に分岐や繰り返しができます。処理を分岐することで取得したデータを別々のアプリに流し、それぞれ違うことをさせることが可能です。また、イテレーターで複数のデータを繰り返し処理させることも簡単にできます。
たとえば、ひとつのシナリオでFacebookとDiscord両方に投稿したり、メールに添付されたファイルを個別に処理したりできます。
詳細は、「2.4 ビルトイン・ツールモジュール」を参照してください。
エラーハンドリングは面倒と感じるかもしれませんが、Integromatのエラーハンドリングは簡単です。エラー時に実行されるノードに、エラー対応のモジュールを繋げるだけでできます。
エラーハンドリングをしておくことで、よりシナリオの信頼性を高めることができます。また、失敗を許容することができるので、より柔軟性高くシナリオを書けるようになります。
詳細は、「2.8 エラーハンドリング」を参照してください。
Integromatは、2021年1月時点で約600サービスと連携しています。また、現在未サポートのサービスでも、標準モジュール(HTTPやJSON)を組み合わせることで連携させることが可能です。
本書では、一部を第3章「代表的な連携サービス」で紹介します。