目次

はじめに

お問い合わせ先
免責事項
表記関係について

第1章 ショートカットとは?

第2章 最初のショートカット「Hello World」

2.1 ショートカットアプリを起動する
2.2 作ってみる
2.3 実行してみる

第3章 ショートカットアプリの起動方法

3.1 ショートカットの開発アプリの中から起動する
3.2 ショートカットをフォルダで管理する
3.3 ホーム画面のアイコンをタップする
3.4 ウィジェットとして追加し、起動する
3.5 共有シートから起動する
3.6 スポットライトから起動する
3.7 Siriで起動する
3.8 何らかのイベントが発生したら起動する

第4章 ショートカットの基本的な開発方法

第5章 デバッグする

第6章 iPhone、iPadの設定を変更するショートカット

第7章 サンプル 機内モードにしたら、画面の明るさを0%にする

7.1 作ってみよう

第8章 サンプル bluetoothヘッドセットを接続したら自動で再生開始する

8.1 作ってみよう

第9章 サンプル 夕方、会社や学校から離れたら自動でメールを送信する

9.1 作ってみよう

第10章 アプリの機能を使う

第11章 サンプル 選択した写真のサムネイルをメールで送る

11.1 作ってみよう
11.2 使ってみよう

第12章 変数を使う、入力を受け付ける、選択する、辞書を使う

12.1 入力を受け付ける
12.2 選択する

第13章 文字列を使う、正規表現を使う

13.1 文字列を扱う

第14章 日付情報を使う

第15章 条件判断 サンプル 天気予報が雨だったらアラートを出す

第16章 ループ

16.1 「繰り返す」
16.2 「各項目を繰り返す」

第17章 ネットワークを使って外部サービスと連携する、URLを使う

第18章 サンプル YouTube動画を保存する

第19章 サンプル SlackやLINEにメッセージを送る

19.1 準備
19.2 作ってみよう

第20章 サンプル NFCタグを使ってショートカットを起動する

20.1 作ってみよう

第21章 番外編 macOSでのショートカット

21.1 使ってみよう

あとがき

参考文献

はじめに

 「iOSショートカットプログラミング入門」を手に取っていただき、ありがとうございます。本書はiPhoneやiPadといったiOSが動作するデバイスのさまざまな操作を自動化する「ショートカット」というアプリを、もっと活用してほしいという気持ちから生まれました。

 iOSのバージョン14以降では、ショートカットが初めからインストールされるようになりました。ですから、ショートカットはすぐに使うことができます。でもなんとなくよくわからない、だから使っていない、そんな人が多いように思います。

 でも、使ってみるととても便利です。そして、自分でフローを作ってみると、その強力さに驚きました。そして確信したのです。「ショートカットは立派なプログラミング環境だ」と。

 本書では、ショートカットを「プログラミング環境」という視点で捉えて、なるべくわかりやすく解説します。

 iOSデバイスは私達の日常のさまざまなことをサポートしています。だからこそ、iOSデバイスを効率的に活用することは、これから必要とされるスキルです。

 ぜひ、本書で解説した事例を実践してみてください。その簡単さと便利さに驚くはずです。さあ、あなたのiPhoneまたはiPadを開いて、ショートカットを使ってみましょう。

お問い合わせ先

 本書に関するお問い合わせ:info@systems-power.com

免責事項

 本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた開発、製作、運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。

表記関係について

 本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標、商品名です。会社名、製品名については、本文中では©、®、TMマークなどは表示していません。

第1章 ショートカットとは?

 本書で扱う「ショートカット」は、iPhoneやiPadに初めからインストールされているアプリです。ショートカットアプリを使うことで、iPhoneやiPadの操作を自動化できます。しかも、やりたいことを画面上でビジュアルに組み合わせていくことができます。

 豊富に用意されているサンプルを動作させることで、さまざまな機能を試せます。たとえば、「歯磨きタイマー」というショートカットは起動すると、「歯磨きの準備はできましたか?」と表示し、OKボタンを押すとタイマーが開始され、1分経過すると、「あと1分!」と表示され、さらに1分経過するとデバイスが振動して、「終了!」と表示されます。単なるタイマーではできない動きをします。

 いろいろなサンプルを使ううちに、自分でショートカットを作ってみたいと思うことでしょう。ショートカットアプリには作成機能も用意されています。作成したショートカットは保存して、他の人と共有できます。また、ショートカットアプリはいつでも呼び出せますし、iOSにしっかり組み込まれていますので、さまざまな起動トリガーを使えます。たとえば、iOSの位置情報を使って、ある場所に到着したら、それをトリガーにしてショートカットを実行できます。

 知っていて損はない、それがショートカットアプリです。

元々は別会社のアプリだったショートカット

 ショートカットは元々、DeskConnect社が開発した「Workflow」というアプリでした。このアプリは、2015年にApple Design Awardsを受賞するほど有名なアプリでした。アップル社はDeskConnect社を買収し、このアプリの機能を拡張し、iOS13からショートカットという名称で提供したのです。

第2章 最初のショートカット「Hello World」

 早速ショートカットを作ってみましょう。

 最初に作るのは「Hello World」です。プログラム言語の解説書によく見かける、実行すると「Hello World」と表示するプログラムです。

図2.1: 完成図

2.1 ショートカットアプリを起動する

 まず、お手元にiPhoneかiPadを用意してください。そして「ショートカット」アプリを起動します。

図2.2: 「ショートカット」アプリを起動する

 すると「すべてのショートカット」というタイトルの画面が表示されます。

図2.3: 「すべてのショートカット」画面

 この画面には自分が開発したり、ギャラリーから取り込んだりしたショートカットが表示されます。

2.2 作ってみる

 画面の右上の「+」を押します。すると、「新規ショートカット」画面が表示されます。

図2.4: 「新規ショートカット」画面

 ここにショートカットの部品を並べて、新しいショートカットを作ります。まず、「アクションを追加」をタップします。

 すると、追加できるアクションがずらりと出てきます。

図2.5: アクションの一覧

 ここでは「スクリプティング」をタップします。今度はスクリプティングで追加可能なアクションが一覧で表示されます。

図2.6: スクリプティングのアクションの一覧

 今回はこの中から「通知」に分類されている、「アラートを表示」をタップします。

図2.7: 「アラートを表示」アクションの追加

 すると、先ほどの「新規ショートカット」の画面に戻ります。

図2.8: 「新規ショートカット」画面

 そして「続けますか?」を選択し、文字を入力指定して、「Hello World」と入力します。

図2.9: 表示される文字を変更する

 これで完成です。「次へ」をタップします。

 すると、Siriで実行する場合の名称を入力する画面になります。「Hello World」と入力し、完了ボタンをタップします。

図2.10: Siriで実行する場合の名称を入力する

 次に、「・・・」をタップします。すると、詳細設定の画面になります。

図2.11: 詳細設定画面

 ここでは「ホーム画面に追加」を実行し、「共有シートに表示」をONにします。

 設定も完了しました。「完了」をタップします。すると、「すべてのショートカット」画面に今作った「Hello World」が追加されています。

図2.12: 「すべてのショートカット」画面

 そして、ホーム画面にはアイコンが追加されています。

図2.13: ホーム画面にアイコンが追加されている

2.3 実行してみる

 では、早速実行してみましょう。「すべてのショートカット」画面にある「Hello World」をタップします。アラートが表示されるでしょうか。

図2.14: ショートカットを実行する

 難しいプログラミングをすることなく、アプリができてしまいました。同じことを、XCodeを使ってSwiftで開発すると、かなり多くの知識と時間が必要となるでしょう。ショートカットアプリならこれだけで動くアプリが作れるのです。

 ショートカットアプリに興味が湧いてきましたか。次の章ではショートカットアプリの利点のひとつである、さまざまな起動方法について紹介します。

試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。