はじめに
第1章 ショートカットとは?
第2章 最初のショートカット「Hello World」
第3章 ショートカットアプリの起動方法
第4章 ショートカットの基本的な開発方法
第5章 デバッグする
第6章 iPhone、iPadの設定を変更するショートカット
第7章 サンプル 機内モードにしたら、画面の明るさを0%にする
第8章 サンプル bluetoothヘッドセットを接続したら自動で再生開始する
第9章 サンプル 夕方、会社や学校から離れたら自動でメールを送信する
第10章 アプリの機能を使う
第11章 サンプル 選択した写真のサムネイルをメールで送る
第12章 変数を使う、入力を受け付ける、選択する、辞書を使う
第13章 文字列を使う、正規表現を使う
第14章 日付情報を使う
第15章 条件判断 サンプル 天気予報が雨だったらアラートを出す
第16章 ループ
第17章 ネットワークを使って外部サービスと連携する、URLを使う
第18章 サンプル YouTube動画を保存する
第19章 サンプル SlackやLINEにメッセージを送る
第20章 サンプル NFCタグを使ってショートカットを起動する
第21章 番外編 macOSでのショートカット
あとがき
「iOSショートカットプログラミング入門」を手に取っていただき、ありがとうございます。本書はiPhoneやiPadといったiOSが動作するデバイスのさまざまな操作を自動化する「ショートカット」というアプリを、もっと活用してほしいという気持ちから生まれました。
iOSのバージョン14以降では、ショートカットが初めからインストールされるようになりました。ですから、ショートカットはすぐに使うことができます。でもなんとなくよくわからない、だから使っていない、そんな人が多いように思います。
でも、使ってみるととても便利です。そして、自分でフローを作ってみると、その強力さに驚きました。そして確信したのです。「ショートカットは立派なプログラミング環境だ」と。
本書では、ショートカットを「プログラミング環境」という視点で捉えて、なるべくわかりやすく解説します。
iOSデバイスは私達の日常のさまざまなことをサポートしています。だからこそ、iOSデバイスを効率的に活用することは、これから必要とされるスキルです。
ぜひ、本書で解説した事例を実践してみてください。その簡単さと便利さに驚くはずです。さあ、あなたのiPhoneまたはiPadを開いて、ショートカットを使ってみましょう。
本書に関するお問い合わせ:info@systems-power.com
本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた開発、製作、運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。
本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標、商品名です。会社名、製品名については、本文中では©、®、TMマークなどは表示していません。
本書で扱う「ショートカット」は、iPhoneやiPadに初めからインストールされているアプリです。ショートカットアプリを使うことで、iPhoneやiPadの操作を自動化できます。しかも、やりたいことを画面上でビジュアルに組み合わせていくことができます。
豊富に用意されているサンプルを動作させることで、さまざまな機能を試せます。たとえば、「歯磨きタイマー」というショートカットは起動すると、「歯磨きの準備はできましたか?」と表示し、OKボタンを押すとタイマーが開始され、1分経過すると、「あと1分!」と表示され、さらに1分経過するとデバイスが振動して、「終了!」と表示されます。単なるタイマーではできない動きをします。
いろいろなサンプルを使ううちに、自分でショートカットを作ってみたいと思うことでしょう。ショートカットアプリには作成機能も用意されています。作成したショートカットは保存して、他の人と共有できます。また、ショートカットアプリはいつでも呼び出せますし、iOSにしっかり組み込まれていますので、さまざまな起動トリガーを使えます。たとえば、iOSの位置情報を使って、ある場所に到着したら、それをトリガーにしてショートカットを実行できます。
知っていて損はない、それがショートカットアプリです。
ショートカットは元々、DeskConnect社が開発した「Workflow」というアプリでした。このアプリは、2015年にApple Design Awardsを受賞するほど有名なアプリでした。アップル社はDeskConnect社を買収し、このアプリの機能を拡張し、iOS13からショートカットという名称で提供したのです。
早速ショートカットを作ってみましょう。
最初に作るのは「Hello World」です。プログラム言語の解説書によく見かける、実行すると「Hello World」と表示するプログラムです。
まず、お手元にiPhoneかiPadを用意してください。そして「ショートカット」アプリを起動します。
すると「すべてのショートカット」というタイトルの画面が表示されます。
この画面には自分が開発したり、ギャラリーから取り込んだりしたショートカットが表示されます。
画面の右上の「+」を押します。すると、「新規ショートカット」画面が表示されます。
ここにショートカットの部品を並べて、新しいショートカットを作ります。まず、「アクションを追加」をタップします。
すると、追加できるアクションがずらりと出てきます。
ここでは「スクリプティング」をタップします。今度はスクリプティングで追加可能なアクションが一覧で表示されます。
今回はこの中から「通知」に分類されている、「アラートを表示」をタップします。
すると、先ほどの「新規ショートカット」の画面に戻ります。
そして「続けますか?」を選択し、文字を入力指定して、「Hello World」と入力します。
これで完成です。「次へ」をタップします。
すると、Siriで実行する場合の名称を入力する画面になります。「Hello World」と入力し、完了ボタンをタップします。
次に、「・・・」をタップします。すると、詳細設定の画面になります。
ここでは「ホーム画面に追加」を実行し、「共有シートに表示」をONにします。
設定も完了しました。「完了」をタップします。すると、「すべてのショートカット」画面に今作った「Hello World」が追加されています。
そして、ホーム画面にはアイコンが追加されています。
では、早速実行してみましょう。「すべてのショートカット」画面にある「Hello World」をタップします。アラートが表示されるでしょうか。
難しいプログラミングをすることなく、アプリができてしまいました。同じことを、XCodeを使ってSwiftで開発すると、かなり多くの知識と時間が必要となるでしょう。ショートカットアプリならこれだけで動くアプリが作れるのです。
ショートカットアプリに興味が湧いてきましたか。次の章ではショートカットアプリの利点のひとつである、さまざまな起動方法について紹介します。