目次

まえがき
第1章 自作VTuber環境の作成
1.1 バーチャルモーションキャプチャーのインストール
1.2 VTuber開発環境(Unity)のセットアップ
第2章 自作VTuber環境のカスタマイズ
2.1 VRMモデルのカスタマイズ
2.2 ビルトインのプロジェクトをURPに変更する
2.3 撮影環境のカスタマイズ
第3章 クオリティアップを目指す
3.1 OBSの設定
3.2 VTuber素材の作り方
3.3 VTuber素材の使い方
あとがき
著者紹介・注意事項

まえがき

 **************** 注意 ****************

 本書を手に取っていただき、ありがとうございます。

 本書はVTuberに憧れて動画投稿および配信にチャレンジする方に向けて、自作の撮影環境やモデルの設定、およびコンテンツ制作をご紹介する本となっています。著者がVTuber活動をするに当たって、画質や撮影方法といったクオリティアップを図ったノウハウを分かりやすく解説しています。本書はゲームエンジンを使用しているため、周辺技術が気になる方にも楽しめる内容となっています。本書によって皆様が楽しくVTuber活動ができるようお手伝いさせて頂ければ幸いです。

 是非、最後までお付き合い頂きますようお願い致します。

本書の目的

 本書は、VTuberとしてコンテンツを制作するに当たって、様々なクオリティアップを行うことを目的としています。よって0からVTuberの配信環境を設定するといった環境構築手法は省略しています。0から配信環境を設定したいという方は、著者の前作である「初⼼者VTuber登録者数100⼈突破するまでの道のりまとめました!」をご一読頂けると幸いです。なお、クオリティアップを行う際に有料アセットを使用する方法をご紹介する場合があります。

 何卒宜しくお願い致します。

本書の対象読者

 本書では次のような人を対象としています。

 ・YouTuberまたはVTuberについて興味がある方

 ・もっとこだわりたいVTuberの方

 ・技術やコンテンツ制作に興味のある方

 ・バーチャル空間や3Dモデルを使った動画が好きな方

 ・「一人ホ○ライブ」や「一人に○さんじ」がしたい方

前提とする知識

 本書を読むにあたり、次のような知識が必要となります。

 ・歓迎スキル

  ─ゲームエンジン「Unity」が使用できること

  ─バーチャルモーションキャプチャーが使用できること

  ─配信ソフトウェア「OBS Studio」が使用できること

開発環境

 本書では下記の開発環境を使用しています。

 PC、VR機器、各種ソフトウェアのご準備をお願い致します。

 ・デスクトップPC(VR Readyのもの)

  ─OS:Windows 10 Home 64bit

  ─CPU:第8世代Intel Core i7 8700(コア:6/キャッシュ:12MB/最大:4.60GHz)

  ─メモリー:8GB DDR4 2666MHz/保存装置:128GB SSD+1TB HDD

  ─GPU:NVIDIA GeForce GTX 1060 6GB

 ・統合開発環境

  ─Unity 2019.4.34f1

  ─Visual Studio 2019

 ・VR機器(SteamVRで使える機器)

  ─HTC VIVE

  ─VIVE Tracker 4台(※必須ではない)

 ・配信ソフトウェア

  ─OBS Studio

 ・VTuber用ソフトウェア

  ─バーチャルモーションキャプチャーv0.50b10

 YouTube配信、動画編集も同様の環境を使用しています。

 参考程度にVTuber活動で使用している機材も記載しておきます。

 こちらは必須ではありません。

 ・キャプチャーボード(ゲーム用)

  ─AVerMedia GC550 PLUS

  ─AVerMedia RECentral 4

 ・動画編集ソフトウェア

  ─PowerDirector 365

 ・オーディオインターフェイス

  ─YAMAHA AG03

 ・マイク

  ─Sennheiser MKE 600 ガンマイク

 なお、上記のPCスペックで下記のような運用まで可能です。

 ただしメモリはかなりギリギリです。

 ・バーチャルモーションキャプチャを起動する

 ・VR機器を起動する

 ・本書で作成する自作配信環境を起動する

 ・Chromeを開きYouTube配信を準備する

 ・OBSで配信をスタートする

 ・キャプチャーボード経由でゲームをする

 ・ディスコードで通話する ←ここまで!

 ・ディスコードで画面を共有する ←共有相手から時々画面が止まると言われる

 よってFPSのようなPCゲームを併用する場合は更なるスペックが要求されるかもしれません。著者はメモリを8GBから24GB、SSDを128GBから1TBに増設し、何不自由なく過ごしています。

問い合わせ先

 本書に関する質問やお問い合わせは、次のページまでお願いします。

 ・URL: https://twitter.com/kradarkrad

謝辞

 本書は味噌とんトロ定食の皆さんにレビューしていただきました。この場を借りて感謝します。ありがとうございました。

図1:

第1章 自作VTuber環境の作成

この章では、バーチャルモーションキャプチャーとUnityを連携して配信環境を作成し、ビルドして使用するまでの方法を解説します。次章からカスタマイズを行うので、その準備段階の章となります。本章及び次章のゴール地点として、下図のような環境を作成することを目標とします(SkyBoxとインテリアは有料アセットですので参考程度にお願いします)。

図1.1:

1.1 バーチャルモーションキャプチャーのインストール

 バーチャルモーションキャプチャーをインストールされていない方は、ご準備をお願い致します。

バーチャルモーションキャプチャーの準備

 バーチャルモーションキャプチャー:https://akira.fanbox.cc/

 1.サイトにアクセスし、お好きな開発支援プランを行い「v0.42」以降のものを選択してダウンロードする(有料版にのみUnityへのモーション送信機能がついています。)

 2.ダウンロードしたファイルを解凍する

 3.バーチャルモーションキャプチャーを起動し、設定タブの「VRM読込」よりVRMファイルを読み込む

 4.その他お好みの設定ができたら設定タブの「設定の保存」をする(次回以降「設定の読込」より同環境を使用できます)。

 設定できましたら、バーチャルモーションキャプチャーは閉じて構いません。

VRMファイルをお持ちでない場合

 ご使用予定のモデルをVRoid Studioで作成、またはVRoid Hubよりダウンロードをお願いいたします。


 VRoid Studio:https://vroid.com/studio


 VRoid Hub:https://hub.vroid.com/


図1.2:
 

1.2 VTuber開発環境(Unity)のセットアップ

 バーチャルモーションキャプチャーからモーションを受信するための環境をセットアップします。初心者の方でも準備できますので、頑張っていきましょう。

必要なものの準備

 1.Unityを導入する(2019.4.29f1以上、著者は2019.4.34f1を使用しています)

 2.EVMC4Uをダウンロードする:https://booth.pm/ja/items/1801535

開発環境のセットアップ

 1.Unityを起動し、3Dのテンプレートでプロジェクトを新規作成する

図1.3:

使用するテンプレートについて

 Unityではゲームシーンのコンテンツを取得し、それを画面に表示する一連の機能が3種類あります。それぞれざっくり説明します。

・ビルトインレンダーパイプライン

 ─デフォルトの機能、今後機能追加がない

・ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)

 ─上記の後継

 ─描画が最適化されている

 ─新機能が使える

・HDレンダーパイプライン(HDRP)

 ─ちょー綺麗

 ─私も使ったことがない為、解説できない

 本書では、ビルトインレンダーパイプラインでプロジェクトを作成した後、URPへの変更方法をご紹介します。それぞれの環境で使用するシェーダーが変わりますので、お好きな方を利用してください。

・ビルトインレンダーパイプライン

図1.4:

・URP

図1.5:

 - 2. UnityにEVMC4Uをインストールする

 ・「Assets → Import Package → Custom Package...」よりダウンロードした「ExternalReceiverPack_v○_○.unitypackage」を選択する。

図1.6:

 ・すべて選択してImportする(インポート後に「ColorSpaceをGammaからLinearにしていいか?」という英文のウィンドウが出ますが、OKしてください)。

図1.7:

 - 3. VRMファイルをUnity上に読み込む

 ・Assetsにフォルダを作成し、VRMファイルをドラッグ&ドロップします(フォルダ名は「Models」としましたが、何でも構いません)。

 ・作成されたPrefabをHierarchyにドラッグ&ドロップするとモデルが表示されます。

今後UnityでVRMファイルを使用したい場合

 通常、UnityにVRMファイルをドラッグ&ドロップしただけではPrefabは作成されません。この機能は、EVMC4Uに内包されている「UniVRM」が作成してくれています。今後ゲームを作りたいといった理由で新しいプロジェクトでVRMファイルを使用したい場合は、Unityに「UniVRM」をインポートしてください。


 UniVRM(UniVRM-○○○_○○○.unitypackageというもの):https://github.com/vrm-c/UniVRM/releases

図1.8:

 - 4. バーチャルモーションキャプチャーとUnityを繋ぐ

 ・「ExternalReceiver」PrefabをHierarchyにドラッグ&ドロップします。

図1.9:

 ・ExternalReceiverの「Model」、「Root Position Transform」、「Root Rotation Transform」にHierarchyのVRMPrefabをドラッグ&ドロップします。

 (この項目は設定しなくてもバーチャルモーションキャプチャーから自動的にVRMファイルが読み込まれますが、どこをスタートポジションにするか分かりやすいので設定します)

図1.10:

 ・バーチャルモーションキャプチャーを起動し、設定タブの「詳細設定」より、「OSCでモーション送信を有効にする」にチェックをつけます。

図1.11:

 お疲れさまでした!

 これで自作のVTuberカスタマイズ環境が整いました。実際にバーチャルモーションキャプチャーでキャリブレーションを行い、Unityで再生して確認してみてください。Main Cameraの位置と背景色を調整すれば、グリーンバックで抜いてそのまま配信に使用することもできるでしょう。

図1.12:

ExternalReceiverのオプション

 VR機器でキャプチャーされたスケーリングではなく、ゲーム内のポジションから動きたくない、回転したくないといったことがあると思います。その場合は、ExternalReceiverのオプションで有効/無効を試してみてください。


図1.13:

頭のトラッキングについて

 VR機器一式でトラッキングする場合は、頭のトラッキングはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で行うことになると思います。しかしHMDはなかなかの重量があり、身体に負担がかかります。長く活動を続けて行くために、身体的な負担軽減を考慮して頭用のトラッカーを購入することをお勧めします。もちろんHMDをかぶって視点をVR化してバーチャル空間に入り込むことは可能ですが、今回はリアル側でキーボードや画面の操作を想定しているため、配信環境のVR化は行いません。


図1.14:

 - 5. シーンの保存とビルド

 最後に今後環境が使いまわせるようシーンの保存と、Unityを起動しなくてもすぐに自作環境が使えるようビルドの方法を記載します。

 ・シーンの保存

  ─「Ctrl+S」またはFileタブの「Save」または「Save As...」をクリックします。Scenesフォルダに「SampleScene」として保存されるほか、新しいシーン名で保存すれば使いまわしやバックアップとして保存できます。

 ・ビルド

  ─Fileタブの「Build Setting...」をクリックし、「Add Open Scenes」をクリックして現在開いているシーンを追加し、「Build」をクリックして好きなフォルダに保存しましょう。

図1.15:
試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。