目次

まえがき
この技術書について
対象読者
動作確認済み環境
表記関係について
第1章 Google Earth Engineを使った衛星データ解析の始め方
1.1 Google Earth Engineについて
第2章 Pythonを使ったGoogle Earth Engineの基本的な操作
2.1 ローカル環境でGEEを利用するまでの準備
2.2 GEEを使ってNDVIを地図上にプロットする
2.3 コードの解説
第3章 衛星画像データをダウンロードする
3.1 GEEから衛星画像データをダウンロードする方法
3.2 衛星画像データをGoogle Drive上に保存する
3.3 コードの解説
第4章 衛星データを利用し時系列変化を解析する
4.1 NDVIの時系列変化のグラフを作成する
4.2 地形情報タイムラプスを作成する
第5章 シェープファイルを利用した衛星データ解析
5.1 シェープファイルのデータを地図にプロットする
5.2 シェープファイルを利用して衛星データを収集する
あとがき

まえがき

この技術書について

 近年、自然災害や異常気象、環境問題といったワードをよく目にします。これらの問題に対しては、発生前と発生後の変化をとらえることは非常に重要です。その変化を捉える方法の一つとして、地球観測衛星によるリモートセンシングがあげられます。地球観測衛星は定期的に地球を周回し、その地表面の様子を撮影するため、時系列による変化を捉えることができます。

 地球観測衛星のデータを利用する場合、データを配布している機関から収集してくる必要がありました。そのため、複数の衛星を利用する場合、それぞれの機関ごとに作業が発生するため、手間がかかっていました。また、大量の衛星データを使用した解析を行う場合、ストレージやマシンスペックがネックになり、敷居が高いという問題がありました。

 しかし、近年Google社からGoogle Earth Engineというサービスがリリースされたことで、衛星データ利用の敷居が低くなってきています。このGoogle Earth Engineを利用するとGoogleのクラウド上でデータの収集から解析までを行うことができるようになり、さらに複数の地球観測衛星の衛星データが利用できます。

 本書はGoogle Earth Engineを用いた人工衛星の観測データの利用方法についてまとめました。最後までお読みいただくと、以下のことが出来るようになります。

図1: NDVIのヒートマップ
図2: NDVIの時系列変化
図3: 衛星画像のタイムラプス

対象読者

 ・衛星データ解析を扱ったことがないが興味がある人

 ・地球環境の変動に興味がある人

 ・自分の研究に地球規模のマクロな視点を取り入れたい人

動作確認済み環境

 本書は以下の環境において正常に動作することを確認済みです。

 ・macOS Monterey(12.4)

 ・Windows 11(22H2)

 ・Python 3.10.11

 ・earthengine-api 0.1.350

表記関係について

 本書に記載されている会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標、商品名です。会社名、製品名については、本文中では©、®、™マークなどは表示していません。

第1章 Google Earth Engineを使った衛星データ解析の始め方

1.1 Google Earth Engineについて

 Google Earth Engine(以下GEE)は、Googleのクラウドを利用して衛星画像データの入手や解析が可能なサービスで、研究や教育活動では無料で利用することができます。

 これまでの人工衛星のデータ利用は、衛星を所有する各機関への利用登録、衛星画像データのダウンロード、専用のソフトウェアによる描画に解析と多くの作業が必要で、さらに一連の作業が衛星画像1枚ごとに発生していました。しかし、GEEの登場によりすべてGoogleのクラウド上で完結することができるようになりました。

 それでは、GEEを利用するための第一歩として、まずは利用登録方法を紹介します。

GEEの利用登録まで

 こちらのGEEの公式サイトにアクセスし「Sign Up」をクリックします。クリックしたらGoogleアカウントのログインが求められるので、適当なアカウントでログインします。

 https://earthengine.google.com/

図1.1: GEEのトップ画面

 次に利用者の名前・所属・所属機関の区分・居住国・利用用途を入力し、利用規則を確認後、「SUBMIT」をクリックします。

 GEEは研究や教育活動では無料ですが、GEEを利用したアプリ販売などの商用利用は有償利用登録が必要となるので注意が必要です。

図1.2: GEEの登録画面

 利用登録が完了したら、Googleから「Welcome to Google Earth Engine!」という件名のメールが届き、確認後利用できます。

試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。