お読みいただき、ありがとうございます。
この本は某通信会社でインフラ設備の運用保守業務を担当し、日夜、自動化・効率化に取り組む士が集まり、日常の課題を解決することを目的としてAIを活用した取り組み・ノウハウをまとめた技術本です。
SRE(Site Reliability Engineering)を目指して活動していますが、運用保守業務はいわゆる「コストセンター」と呼ばれ、サービスやシステムの信頼性を高める活動や付加価値を創造する活動にもあまりコストを掛けられません。
前作「現場で使える!GAS(GoogleAppsScript)レシピ集」「図解・実践・ゼロから作る Grafanaはなぜ現場で使えるのか」「現場で使える! 自動化入門」に引き続きのメンバーで執筆しました。
あまり背伸びをせず、自分たちの身の丈に合ったスキルレベルでの内容となっていますが、少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。
2024年 2月
北崎 恵凡
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北崎 恵凡
Node-REDの勉強会1で初めてお会いし、衝撃のコミュニティーデビューを飾ったマジシャンの高橋さん2。2023年10月13日、実際にNode-REDが使われているリアル脱出ゲーム3の現場へ行った際は、リアル脱出ゲーム本番よりも終了後にNode-REDフローがスクリーンに映し出されたときの方が盛り上がったのは、言うまでもない。Node-REDとの出会いから、現場での活用に至るまでの経緯をインタビューした。
2022年、場所は大阪。体験型シネマ4のスタジオエスケープで、「マダム・ルクレールの交霊会」5という公演をNode-REDで作り上げた実績がありました。元々、SMODE6というプロ用のビジュアルエフェクトおよびメディアアート制作ソフトウェアを使用していましたが、ライセンスフィーや制作コストが高いのが難点でした。制作を担当していたある外国のエンジニアがコスト削減を検討した際に候補に挙がったのが、Node-REDでした。当時、私はエンジニアとして参画し、Node-REDの知識やノウハウを身につけました。最新作の「漆黒の悟り」7でも使用しています。また、不具合で休止中の「欲望のダイヤモンドのファンブック」8も、Houdini9からNode-REDへ移植中です。
私が最初にNode-REDを使った作品は、東京ミステリーサーカス10で公演中の「摩訶不思議な部屋からの脱出」11です。Node-REDとQLab12、OBS Studio13を組み合わせて使用し、トラブルがあったときにLINE Notify14で通知を飛ばすようにしました。
コナン脱出の「追憶のハロウィンからの脱出」15でも、同じ構成(Node-RED、QLab、OBS Studio)で使用しました。OBS Studioで録画が終わったデータをNode-REDで共有し、参加者の手元のタブレットと解説用のスクリーンで見られるようにしました。また、現場スタッフのスマートフォンで撮った写真をNode-REDへ送り、イベントアプリやQLabから参照できるようにしました。
Node-REDを使用することで運営の省力化につながり、シンプルなオペレーションにより運営に係わる人数を少なくできました。
最新作の「黒鉄の海中研究所からの脱出」16でもNode-REDを使用していますので、ぜひNode-REDがどこで使われているか想像しながら楽しんでみてください。笑
公演ではなく、おうちで遊べるリアル脱出ゲーム「ミステリータイムカプセル」17でもNode-REDを使用しています。タイムカプセル(ゲームキット)を購入し、依頼人のLINEアカウントを登録することでゲームを開始します。Node-REDはLINE Botのサーバーとして使用しています。
公演と異なり利用者が好きな場所と時間、自分のペースで遊ぶため、サーバーは24時間安定して動作する必要があります。Node-REDは、システムとしても十分使えると思います。