まえがき
第1章 リモートワーク(テレワーク)
第2章 状況に追従できない会社
第3章 オンライン生活の労働衛生的なハードウェア環境
第4章 リモート新入社員
第5章 リモートワークでの新チーム構築
第6章 オンライン・モブチュートリアル
第7章 みんなに聞いた!オンライン生活に便利なアイテム
第8章 Slack通知への向き合い方
第9章 リモートワーク(テレワーク)の環境構築
第10章 Zoomを使ってオンライン勉強会を開催しよう
第11章 Zoom+YouTube LIVEを使ったオンライン勉強会を開催しよう
第12章 オンライン飲み会
第13章 オンライン勉強会への参加障壁
第14章 オンラインコミュニティの本質は非同期コミュニケーションである
第15章 雑談チャンネルで壁打ち
第16章 趣味をあきらめない
第17章 現場ヲタクの生存戦略
第18章 オンラインで合同誌を作ろう
第19章 イマドキ大学生のオンライン生活
第20章 大学生にとってのオンライン生活の実際
第21章 オンライン行政処理
第22章 オンラインめし
第23章 オンライン時代のキャッシュレス決済利用のススメ
あとがき
この本を手にとっていただき、ありがとうございます。
この本のもとになる本は、2020年5月に電子版で頒布を開始した、「ワンストップオンライン生活」です。新型コロナウイルス(COVID-19)の流行による緊急事態宣言に伴い、外出自粛や在宅勤務になるなど、私たちの生活様式を大きく変化させることになりました。結果としてあらゆるものが一気にオンライン化したともいえるでしょう。そこで、オンラインでの働き方や生活についてのノウハウをいろいろまとめてみました。
今回も合同誌ということで、複数の著者がそれぞれの経験、体験を元に実用的かつ最新の情報をまとめてくれました。
なお、この本はもともと2020年のゴールデンウイークの突発企画として立ち上げたものです。具体的には、4月29日にスタートし、5月6日に発行するという計画で、わずか一週間という執筆期間で発行しました。外出もできないし、イベントも軒並みキャンセルになってしまった時期です。とはいえ、著者の皆さんにはいろいろ無理なお願いをしました。お付き合いくださりありがとうございます。おかげ様で、わずか一週間で120ページ近い厚さの本が出来上がりました。各トピックスにおいても、知見あり、あるあるネタありの読みごたえのある内容になっていると思います。ありがとうございました。
そして、その企画から半年経過した2020年12月に、加筆修正を行い商業版として発行するに至りました。予想より長くなってしまったオンライン生活をふりかえってみて感じたこと、あるいはより多くの状況に関する章を追加しました。底本の同人誌版からは2倍近いボリュームになりました。半年を過ぎて得た体験などが盛り込まれ、より厚くなったと思います。
また、今回も表紙は湊川あい@llminatollさんにお願いしております。オンライン生活ということで、部屋着でビデオ通話するワンストップちゃんです。いつもより心なしか(いや、明らかに?)ふっくらとしているのは、運動不足による在宅太りでしょうか。早く状況が収束し、自粛状態が解除され、外に出られるようになってほしいものです。
この本が、あなたのオンライン生活のお役に立つことを祈っております。強制的に変化してしまった私たちの生活ですが、「新しい生活様式」というキーワードもある通り、一部は日常、生活様式として定着するでしょう。それがどの項目で、どういう形で取り込まれ定着するかはわかりませんが、オンライン生活の一部が快適になることを祈ってまえがきとします。
2020年12月
編集長 親方@親方Project 拝
・本書の内容は、情報提供のみを目的としております。著者一同、正確性には留意しておりますが、正確性を保証するものではありません。この本の記載内容に基づく一切の結果について、著者、編集者とも一切の責任を負いません。
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リモートワークとは、会社以外の場所(自宅)からリモート(遠隔)で仕事をすることです。テレワーク1のほうが一般的な呼び名になっていますが、ぶっちゃけダサいので、本書ではリモートワークと呼ぶことにします。
職場に集まって働く旧来のスタイルを、ひとまずこの章ではオフラインワークと呼びます。
仕事をする場合、オフラインワークでも、リモートワークでも、やること自体はそんなに変わりませんが、リモートワークにはいくつかの成立条件やコツがあります。この章ではそれらのノウハウを余すことなく記します。以下、「オンライン」という単語もだいたいリモートと同じように捉えてもらって構いません。
リモートワークが成功するか否かは、コミュニケーションがとても大きな要素です。リモートワークに失敗する事例では、リモートワークに適したコミュニケーションができていない可能性が高いです。
オフラインワークでも、それなりに雑談をする時間はあったことでしょう。休憩時間もあるはずですし、喫煙所もあれば飲み会もあります。仕事中、雑談に興が乗ることもあります。雑談から思わぬ解決法が見つかることもあります。
リモートコミュニケーションでは、オフライン以上に雑談が重要です。
人と喋らず、もくもく仕事を自宅でこなしていると、気が滅入る人もいれば、本来必要だったコミュニケーション・情報共有が欠けてしまうことも珍しくありません。
想像してみてください。オフラインワークで、オフィスがシーンと静まり返っています。誰も声を出すことができず、物音を出すのもはばかる状況。8時間20営業日12ヶ月それが続くのって、しんどくないですか?
そういった状況では、本来必要だった情報共有も行われないでしょう。
そこで、必要なコミュニケーション・情報共有をするためにも、雑談をすることで敷居を下げましょう。
雑談をするための手段としては何があるでしょうか?
ひとつはSlackなどテキストコミュニケーションによる会話です。
Slack であればおそらく #random という雑談用チャンネルがあるはずです。もし社員数が多すぎて #random で雑談をする勇気が持てない場合、もう少し小さい単位で雑談できるチャンネルがあってもいいでしょう。たとえば #tech_random というエンジニアのための雑談チャンネルであったり #team10_random というようなチームごとの雑談チャンネルです。
可能であれば、ある程度大きな単位で気軽に雑談ができる雰囲気を作ったほうが有利です。そうじゃないと、仲良しグループみたいなものができてしまって、チームを超えた情報共有がしづらくなります。でも、それによって喋りづらい雰囲気ができてしまったり、文化の違うチーム同士で諍いが起きては元も子もありません。適切なサイズ感を見極める必要があります。
ただし、テキストによる雑談では気をつけないとギスギスすることがあります2。オフラインのコミュニケーションならば、言葉が足りていなくても声の調子や表情で伝わることがありますが、テキストでのコミュニケーションではその分の情報が足りないのです。
絵文字を活用するとよいですが決して万能ではありません。ほんの少しの彩りにしかなりません。
そこでおすすめしたいのが、音声雑談です。
有料契約しているSlackでは、通常チャンネルでの音声通話3が可能です。雑談チャンネルなどで、カジュアルに音声通話を立ち上げるといいでしょう。喋るだけでも気持ちは変わります。「コロナでリモートオンリーになってから性格が変わってしまった」という人もいます。
音声通話をするツールとして適しているのが、Discord4 です。もともとゲームをする人たちが、ゲームをやりながら会話をするために使われるサービスで、Slackによく似た機能を持ちますが、特徴的な機能として、音声チャンネルというものがあります。
Slackの音声通話は、どこかのチャンネルやDMで「通話を始める」を選んで開始しますし、Zoomも指定URLにアクセスしてから通話を開始しますが、Discordなら音声チャンネルを常設可能です。
音声雑談が成功するかは、雑談をする際のハードルをどれだけ下げられるかどうかが鍵です。
・雑談に参加するときに誰がいるかがわからないと入りづらい
・雑談をしたいときにいちいちURLにアクセスするのは面倒
常設していて、気まぐれに入れるくらいが望ましいです。現状では、このハードルを一番下げられるツールはDiscordでしょう。もちろん、業務用のSlackと別に立ち上げる以上、業務にまつわる会話はしないほうがいいでしょう。
なんなら、業務とは全く異なるコミュニティでもいいでしょう。あなたの所属する会社や学校とは異なるコミュニティで、あなたと気が合う、それでいて雑談に飢えている人はいるはずです。
Discordには音質があまり良くない、画面共有が使いづらいなどのマイナス点もありますが、カジュアルな雑談をする程度なら、あまり問題にならないはずです。
ギスギスしないように、音声雑談、はじめてみませんか?
気軽に質問をしましょう。気軽な質問を過剰なまでに歓迎するくらいの空気を作りましょう。
リモートワークでの強敵は、「ハマり」です。ハマりとは、ちょっとしたことではありますが、ニッチもサッチも行かなくなってしまった状態をさします。小さいはずのバグがなぜかどうやっても取れない、インストーラーがなぜかコケて先に進まない、など解決や調査の手がかりがなく手詰まりになってしまうような状況を想定してください。
もちろんオフラインワークでもハマってしまうことはありますが、リモートではオフライン以上にハマり状態は見えづらいものです。オフラインでは、ハマっている人がいてうんうん唸っていれば、ちょっとしたきっかけで周りの人が声をかけてくれて、解決に向かう場合があります。ハマりの状態は、原因や解決方法を知っている人がいれば大抵一瞬で解決します。それが自分一人では見つからないのでハマってしまうのです。
それに、リモートでの質問自体はオフラインよりも低コストですし、何より同じ状況にいる人にとって役立つものです。同じタイミングで悩んでいる人がいれば、一人に対する回答で複数の人が助かることになります。
オフラインコミュニケーションでは、質問は揮発性のものです。リモートコミュニケーションでは質問は流れてしまう5かもしれませんが、質問されたということ、それに誰かが答えた/誰も答えられなかったという記憶は残るはずです。質問そのものは流れたかもしれませんが、答えを誰かが知っているのか誰も知らないのかといった情報から、同じような状況に少し対処しやすくなります。
そもそも質問とは、状況、説明、仕組み、そういったことに何かしらの不足があるサインかもしれません。もちろん単に当人の不勉強が原因かもしれませんが、属人化されてしまっていたさまざまな情報を整理するチャンスでもあります。
気軽な質問をできる空気を作ることができれば、こういったサインを見逃さないチーム作りもできるでしょう。
オフラインワークの時代は、いろいろな決定事項が秘密裏に決まることも珍しくありませんでした。オフィスの自席で相談したこと、喫煙所での話し合い、そういったものはよくあるものです。それら過程は正確には残されず、成果物という形だけが残るのです。
リモートワークでは、低コストで過程を残すことが可能です。
DMやプライベートルームは原則、禁止とすべきです。そういった密談は、情報共有とは対極にあるものです。どうしても情報の取り扱いが問題になるようなもののみを限定共有という形にして、そうでないものは全て共有するほうが円滑に仕事が進みます。
もちろん、これは会社の文化もありますし、頑なにそれを拒む人もいるかもしれません。リモートワークに向いた会社とそうでない会社は、こういったところに現れます。情報を囲い込もうとする人、チームには警戒するとよいでしょう。
分報は、次の記事で発表された取り組みです。Slackのようなチャットツールに「分報」という社内Twitterのようなチャンネルを作り、個人ごとに分報用のチャンネルを作り今やっていることや困っていることを共有していくことでスピード感のある情報共有を行っていくものです。
http://c16e.com/1511101558/ Slackで簡単に「日報」ならぬ「分報」をチームで実現する3ステップ〜Problemが10分で解決するチャットを作ろう | Craftsman Software Inc.
この分報という取り組みが、リモートワークにうまくハマるものとなっています。
直近でリモートワークを始めた多くの企業では、Zoomなどのビデオ通話アプリを使って共有をすると思います。しかし、ビデオ通話は「複数人が同時に参加する必要があり、アーカイブを確認しにくい」特性があります。ビデオ通話を立てるには、時間をあわせるする必要があり、進捗の共有や悩みの相談だけで通話を始めるには抵抗がある方も多いでしょう。
このコミュニケーションを埋められるのが分報です。自分だけのチャンネルに投稿し、周りの人は時間に余裕があるタイミングで見るだけです。誰にとってもコストが低く、オフラインワークと比べて欠落した情報共有を埋めることが出来るのです。
会社によって合わないこともあるかもしれませんが、部署やチームといった単位でも始められる取り組みです。まずは、小さく始めてみるのもいいでしょう。
どういう仕事のスタイルにせよ、情報共有は重要です。
電子化されていない職場での情報共有にはとても大きなコストがかかりますが、リモートワークのような電子化前提の環境では、古い仕組みよりはよほど情報共有のコストが下がるでしょう。
ただし、情報共有は勝手に行われるものではありません。何かしらの仕組みを作らなければ、情報共有をしようというモチベーションは発生しづらいものです。
また情報共有をしていても、それが埋もれてしまえば、実際には共有されていないのと同じになってしまいます。
適切な情報共有の仕組みがあれば、仕事の効率を下げる諸問題に対処しやすくなります。たとえばハマりどころがあったとしても、同じところでハマるということを避けられるでしょう。
逆にいうと、適切な情報共有をしていなければ、同じところでハマる、誰かが解決方法を知っているのにハマるといった無駄が生じる可能性が増します。よほど優秀な人材が揃っていればそのようなことは無いかもしれませんが、そういう奇跡を期待するよりは、情報共有の仕組みを整えるほうがよいでしょう。
情報共有は全体の生産性を上げるためのものです。
・情報共有を妨げる要因を排除する(マイナス要因をなくす)
・情報共有を促す仕組みを作る(プラス要因を作る)
・共有された情報を探しやすくする
この節ではこれらについて解説します。
情報共有を妨げる要因はいろいろあります。
たとえば、情報共有に手間がかかると、それは妨げの要因になります。気軽に情報共有をできるようにしておくべきでしょう。これは前述の、コミュニケーションが滞れば情報が出てこないという話と同じです。面倒な手続きがあるようならそれは取っ払うべきです。
文化的に情報共有を妨げることもあります。失敗を報告しづらい文化であれば、失敗に関する情報共有は期待できないでしょう。失敗は本来、とても重要な情報源です。
情報共有をすれば自分にとってプラスになるようになれば、情報共有は促されるでしょう。
多くの会社・組織にとって情報共有そのものは目的ではないため、情報共有に直接のインセンティブを設定しづらいですが、情報共有が重要であるという合意が取れれば、評価基準に組み込みやすくなります。
たとえばいい情報を共有した人に何かしら評価が付く仕組みを用意するという方法があるでしょう。ドキュメント共有システムによっては「イイネ」を付けられるようなものもあります。
情報を共有することでチームとして作業しやすくなれば、チームとして活動する自分に跳ね返ってくるでしょう。チームのオンボーディング6がスムーズになるような情報共有をすれば、チームに人員が不足しがちな現場では、即戦力を得て、自分の負担が減るというモチベーションになるかもしれません。
たとえば情報を探しやすくするようにするためのドキュメント(ページなど)を作るという方法があります。チームに入った人間が最初に見るべきドキュメントを作成し、そのドキュメントから必要な他のドキュメントへのハイパーリンクを作成したり、解説をまとめたりしておいて、そのURLを適切な場所においておくようにします。
ディレクトリ型のシステムであれば、適切なディレクトリ構成にメンテナンスすれば、たどり着きやすいでしょう。
タグのあるシステムでは、適切なタグを付けるように心がける、タグ付けのガイドラインを提示する、ドキュメントを漁って適切なタグを付与する(メンテナンスする)というような方法がとれるでしょう。
リモートワークでは自主的に動ける人が強いです。自主的に動かないと、周りからも評価されにくくなります。
特に情報共有は、ボトムアップで動かないと、ずっと使いづらいままになりがちです。
組織としてそういった活動を評価できるべきですが、そうなっていない場合でも、自主的に情報共有をしていくほうが、メンバー各自にとっても働きやすいはずです。
仕事におけるコミュニケーションの方法には、対面、ビデオ通話(ex. Zoom)、テキスト(ex. Slack)がありますが、伝わる情報量は後にあげたものの方が小さくなります。そうです。Slackでは、思ったより伝わる情報量は大きくありません。ビデオ通話をすればテキストで伝わらない情報を伝えることができますが、テキストによる「非同期」というメリットが失われます。このデメリットを回避して、Slackで伝える情報量を上げるポイントは、「画像」と「動画」をうまく使うことです。
特に覚えておきたい画像の活用法はふたつあります。ひとつ目は、スクリーンショットです。画面に写っている要素を画像にして共有する方法を覚えておきましょう。WindowsもmacOSもそれぞれOS標準でスクリーンショットを取る方法が用意されています。作っているものや、操作方法を伝える際に便利なのでぜひ活用しましょう。それに加えて、矢印や四角形を加えると更に伝わりやすい画像になります。ふたつ目は、テキストで伝えられない図を作って共有する方法です。これはPowerPointやKeynoteなどのプレゼンテーションツールを使ったり、SketchやFigmaのようなデザインツールを使って図を書き、共有します。最初は難しいかもしれませんが、習熟すると簡単に図をかけるようになります。
これらの手法を覚えることで、ビデオ通話のようにお互いに時間を合わせなくても伝えられる情報量を増やすことができます。リモート時代の小技として覚えておくに越したことはありません。
社内でSynology社のNASを使っているのですが、小規模の会社であればこういうものも非常に有用ではないかと思います。NASなので保存データの冗長化はされますし、2台並べて使えば簡単なフォールトトレラント構成も取れるようです。
また、最近の高機能NASはさまざまな機能を追加できるようになっていて、ファイル共有以外にもメールサーバーを立てたり、Slackクローンのアプリを入れてチャット機能を使ったり、極めつけはVMまで動きます……(弊社で使ってるのはファイル共有・チャットぐらいなのですが)。
なお、自宅ではQNAP社のNASを使っていますが、ほぼほぼ同様の機能がこちらにもあるようです。(QNAP社のNASのほうがホームユースに多少寄っているようで、デフォルト設定だと電源落とす時に「Shuting down!」とか流暢な英語でいきなり鳴き出します。なお英語と中国語でしか鳴いてくれません……日本語入れてほしいなぁ。あと、大きな差として初回セットアップの時にはインターネット接続が必須だった覚えがあります。クローズドな環境では少し使いにくいかもしれませんね)
NASも安い構成だとストレージ込みで10万もしませんし、Synology社のNASに関しては、本体がハードウェア損傷しても原則的には同型機にストレージを移植すれば復旧するということなので、大丈夫そうではあります。
(一応サポートセンターに聞いてそういう対応で復旧できる旨の回答は得ていて、更に貸与機を使わせていただいて復旧検証を試してみた結果もちゃんと復旧はしてました。本番でクラッシュして戻らないと悲惨なので、更に冗長化やリカバリーは検討しておいたほうが良い気はしますけどね)
サーバー管理者が明確にいないような会社であれば、こういう仕掛けを使って楽をするのもありかもしれませんね。
なお、Synology社に関してはたしか2019年からだったかと思いますが、日本法人も立ち上がり、日本語でのサポートもちゃんと対応してくれますよ。質問投げた時も反応早くて的確でした。そういった意味でも個人的にはオススメできますね。
最近ですと、QNAP社のNASで動かせるVM環境でVMがライブマイグレーションできるようになった7ようです。
もはやNASとは一体?という感じになってきていますね(筆者はQNAP社のNASを複数持っているわけではないので試せていませんが……)。
昨今、NASなのにメモリーの搭載量が8Gとかあるものが多くなってきていますが、どうもVM環境のニーズに応えるという理由も大きいようですね。
今度はリモートワークでの働き方そのものにフォーカスをあててみましょう。在宅で仕事をする場合、気分の切り替えがとても重要になります。気をつけないと、仕事と生活の境界線が曖昧になってしまいますし、同じ状況が続くとしんどいと感じる人もいます。
リモートワークにおいて自宅は職場であると共に私生活の空間でもあるため、同じ空間の中でONとOFFのメリハリをハッキリつける必要があります。
スイッチの切り替えをおざなりにしていると、仕事が間延びしたり、食事や休憩の時間や作業終了時刻が予定とズレてしまったりするからです。
スイッチの切り替え方のひとつとしてオススメしたい方法は、1日のどのタイミングでどう休憩するかを記した「休憩時間割」を作成することです。
休憩時間割は頭のリフレッシュと作業の区切り付けを目的として作成します。
一例を挙げると、「毎時0分になったらコップに水を注いで飲む」や、「15時0分になったら3分間ストレッチをする」、「16時0分になったら小皿に素煎り大豆を盛る」などです。
特に「水を飲む」行為はオススメで、ぼうっとした脳をクリアな状態に戻せる効果があります。
作成の際は、「休憩」とだけ書くのではなく、それを見れば何をすればいいのか一意に理解できるように書くことを意識しましょう。
休憩のときに「何をして休憩しよう」と悩んで無駄に脳を消耗させないようにするためです。
これを作ることで、リモートワーク特有の問題である仕事の間延びや思考力の浪費を防ぐことができます。
また、細かく小休止を取り入れることで頭の整理時間を設けることもできます。
指定時刻に確実に休憩できるよう、デスクトップ通知やアラームを起動してくれるような媒体で時間割を作成するといいかもしれませんね。
過去のワンストップシリーズでも散々説明されているポモドーロテクニックを目安にするという方法もあります。
タイマーを用意して25分集中、5分休憩を繰り返すというもので、これを何回か繰り返したら長時間休憩を入れるというものです。erukitiの個人的体験では、休憩時間は5分、10分、5分、15〜30分位の繰り返しがちょうどよいかなーと思います。
やってみるとわかりますが、本気で何回かやると、かなり疲れます。
時間割の方がオンライン会議と時間を合わせやすいという利点はあります。
オンライン会議がない日や、空いた時間が多い時にはポモドーロテクニックを実行してみてもいいかもしれません。
人によって向き・不向きや好みがあると思うのでいろいろ試してみてください。日によって切り替えるというのも、気持ちの切り替えとして働くかもしれません。
労働と生活のスイッチが難しいという性質上、リモートワークでは働きすぎることが度々生じます。「キリのいいところまで」で時間が伸びることもありますし「お腹があまり空いてない」で伸びることもあります。結果、食事の時間が不定期になったり食べ損ねたりすることがあります。
自分の中できっちり区切りを付けることを意識した方がいいでしょう。12時になったら作業を打ち切ってでもおひるごはんを食べる、あるいは区切りの良いところまでといいつつ、12時半には区切りがよかろうと悪かろうと打ち切るなど、自分ルールを決めてみるのもよいでしょう。
人によって気分の切り替え方はさまざまです。ここに挙げるのは一例です。
仕事モードの服を用意してもいいでしょう。カメラで自分の姿を映さないのであれば、いっそコスプレをしてもいいかもしれません8。
ここで大切なことはスイッチを切り替えることです。自分の気持ちが最高にアガるような服装を見つけるといいでしょう。
休憩時間の切り替えをどうするかは悩ましいものです。リモートワークと定時労働は相性が悪いですが、どうしても会社との契約上、定時労働をしなければいけない場合は、休憩時間も服装を変える必要はないでしょう。
ちょっとした小物でスイッチを切り替えるというのもありでしょう。たとえばネクタイをしてる人であれば、休憩時間はネクタイを緩めるとかです。社員証があれば、首からぶら下げてる時間を労働モードとするというのもありでしょう。
もちろんお茶じゃなくても、コーヒーでもジュースでも青汁でもなんでも構いません。どうせなら少し高めのお茶を買ってみてもいいでしょう。
お茶請けにおいしいお菓子を用意してもいいかもしれません。頭脳労働には甘いものが有効です。
香りは意外とバカにできません。脳は香りによってモードが切り替わるものです。前述の美味しいお茶を飲むというのも、香りを楽しむひとつの手段です。
自宅であれば人に気兼ねすることなくアロマを楽しめるでしょう。家族や同居人がいれば、迷惑をかけない範囲で、ですが。
椅子に座りっぱなしはとてもとても不健康です。在宅勤務に限りません。
最低でも、30分に一度は立ち上がりましょう。できればストレッチやヨガなどで体をほぐすといいでしょう。首や肩が凝っていませんか?
またVDT作業のガイドライン9でも、1時間以上の連続したPCなどのVDT機器の利用は健康に対する影響があるため、定期的な休憩が推奨されています。具体例として、1時間毎に10分から15分の休憩を挟むような作業スタイルが推奨されていますね。
オフラインの職場よりは気兼ねなく音楽を聞けることでしょう。音楽は脳のモード切り替えにも大きな意味合いを持ちます。
歌詞のある歌を聞くのもいいですが、人によっては集中しづらいこともあります。その場合、筆者のオススメの1つはインスト曲、つまり人間の歌が入らない楽器だけの曲です。映画のサントラや、インスト曲専門バンドの曲などがあります。
ひとつめのおすすめは環境音です。雨音とかが有名かもしれませんが、カフェの音、雑踏の音というものもあります。
音楽は脳のモードを切り替えると書いた通り、同じ音楽を聞き続けるとモードが固定化されてしまいます。気分転換という意味では、モード切り替え時に、音楽の種別を変えるべきでしょう。
・起きたときの音楽
・仕事中(集中モード)の音楽
・仕事中(発散的思考モード)の音楽
・仕事をまとめるときの音楽
・プライベートモードに切り替える音楽
・寝る前の音楽
こういうモード切り替えをしてみてもいいかもしれません。これは音楽に限らず、匂いや飲み物も効果的です。
あれこれ気分転換の方法を書いてみましたが、どれにも共通することは楽しむことです。自分なりの楽しみを見つけてください。
リモートワークでもオフラインワークでも、実は使うソフトウェアにさほど違いはありません。実際この節で挙げるツールはオフラインワークでも普通に使われているものがほとんどです。
Slack、Discord、Zoom、Chatwork、Microsoft Teamsなどが有名どころでしょうか。
Slackを使っている企業が多いでしょう。企業のコミュニケーションツールでは全世界的に定番となっています。無料版ではなくちゃんと課金をしている場合、Slack 通話が便利です。音声通話・ビデオ・画面共有などが行なえます。
Discordは音声通話に強いツールです。ゲーマーやオンラインコミュニティ向けのサービスなため、会社・組織では採用しづらいかもしれません。DiscordはSlackに先駆けて音声通話をサービスし続けてきた歴史があります。最近ではGoLiveという画面共有を行える仕組みもあります。SlackだとワークプレースごとにIDとパスワードが異なりますが、DiscordならひとつのIDでどのサーバーにも参加することができるので、オープンソースコミュニティやプライベートコミュニティなどに向いています。
Zoomは通話に特化したサービスで、コロナによりユーザー数が数十倍に増えたという大躍進をしています。セキュリティリスクが見つかったり顕在化もしていますが、本稿執筆時点10では、セキュリティ改善に力を入れている最中です。
ChatworkやMicrosoft Teamsはいろいろな機能が統合されたサービスです。大きめの会社ではこちらが採用されることも少なくありません。Microsoft Office(Word,Excel,PowerPoint)を常用するような会社では特に多い気がします。ビデオ、画面共有、ファイルの共有などもできますし、PowerPointなどとの親和性も高いといえます。それでもファイルに相性があったり直接編集できなくてストレスがたまったりすることもあります。
ビデオ通話でネックになりがちなのが回線速度です。回線の遅い人がいる場合はビデオ通話をオフにできるならオフにしたほうがスムーズに通話できます。コロナ状況下では、大抵の人は自宅からの接続となるでしょうが、LTEテザリングやADSLなど回線が貧弱な場合、問題になることがあります。
Google Documentやesa、Qiita team、DocBaseなどが有名どころでしょうか。他にも星の数ほどある激戦ジャンルです。
これらのドキュメントツールは同時編集をサポートしていることが多いですが、サービスによって同時編集の使い勝手が違うことは注意したほうがいいでしょう。
・他のひとの編集によって自分のカーソルが変な位置に移動しない
・保存ボタンを押したときに、他の人の環境でコンフリクトを起こさない
・多人数編集で重くならない
などが分かりやすい判断基準となるでしょう。
同時編集の優秀さを2020年5月2日時点で判断すると DocBase > esa > hackmd > scrapbox です。DocBaseは多人数で同時に編集しまくっても困ったことが発生しません。編集のリアルタイム反映も文句ないですし、誰が保存ボタンを押しても大丈夫です。esaはそれに少し劣る感じで、hackmdは多人数でいじると結構カーソルが不思議な位置に移動します。scrapboxは多人数編集をするとストレスを強く感じました。
※あくまでerukitiの評価です。参考までに。
Markdownなどのプレーンテキストをベースにしたドキュメントツールならよいですが、Japanese Traditional CompanyではいまだにWord、Excel、PowerPointが幅を利かせています。これらを使って仕事をする場合は、リモートワークになったからといってあまり変わらない可能性があります。
誰かが作ったエクセルファイルをメール添付して送るといった事象が、相変わらず主流になっている会社はいくらでもあります。「ファイルサーバーにおいてあるこれを更新してください。 ¥¥hoge¥fuga¥doc¥haga.xls」という連絡がきたり。あるあるですね。でも共有フォルダに置いてあっても同時アクセスができなかったり、意図しない形でデータが消えたり、上書きされてしまったり……困ったことはいくらでも起こりえます。そうすると各人がローカルで編集してメールで送りあう方がまだ楽だったりします。その結果として、ワークフォルダには、こんなファイルが並ぶわけです。
1: 報告書20201025.xls
2: 報告書20201025(山田追記).xls
3: 報告書20201025(山田鈴木追記).xls
4: 報告書20201025(提出版).xls
5: 報告書20201025(部長確認済).xls
6: 報告書20201025(最終提出版).xls
7: 報告書20201025(最終提出版2).xls
Gitでの管理もしづらいし、Office系ドキュメントツールの共有を効率化するソリューションが欲しいところです。それがないとリモートワークの効率の大幅改善は難しいと思います。こんなやりかたがあるよ、という方法があればぜひ教えてください。
GitHubの一人勝ちです。よほど強い理由でもなければGitHubを使いましょう。他の選択肢は面倒なだけです。
リモートワークでは環境整備、特にここでは機材について、働きやすい環境を整えたほうが良いでしょう。生産効率や健康面に直結します。
マイクやスピーカーに少し気を使うだけで、ストレスは激減します。合わない椅子、机やキーボードを使っていると、体を壊してしまう可能性があります。デスクワークにおける職業病のひとつに肩こり、腰、その他の関節症候群があります。
オンラインで通話できるツールはいくつも登場しています。最近ではZoomが有名どころですが、SlackやDiscordにも通話機能があります。音声通話・ビデオ通話それぞれありますが、どちらにせよ、音声がまず重要です。
多人数で音声通話をするとき、意外に問題になるのが通話用の機材です。
まずこれだけは確実に言えます。何度でも言っていいくらいです。
※絶対に本体マイクと本体スピーカーを同時に利用してはいけません
これは他人の声がエコーを起こしたりすることがあるためです。ひとりでもそういう人がいれば、全員の迷惑になります。必ずイヤフォンかヘッドセットなどを使いましょう。
本体マイクは性質上周りの声や音を拾いやすいため、家族がいる人は本体マイクを使うべきではありません。
これらがあるため、マイク付きのイヤフォン(以下、イヤフォンマイク)かマイク付きのヘッドセットを強く推奨します。さらにいうとある程度の値段をかけるべきです。安物だとガチャになります。
品質の悪いマイクを使うと、他の人にとって聞き取りづらい、ノイズが乗りやすいという問題があるため、ある程度以上のクォリティのマイクが必須です。iPhoneを持ってる人は、付属のEarPodsが文句なしなのですが、今のEarPodsは全てケーブルが Lightning なため PC と繋ぐことができません。Android端末に付いているイヤフォンマイクは、ものによっては品質が悪いので注意しましょう。
ゲーミングヘッドセットを買うという選択肢もありますが、ヘッドセットの類いは長時間装着すると耳が蒸れることもあります。
また、選択肢としてイヤフォン・ヘッドセットには、有線と無線があります。無線は室内を動き回れますし便利ですが、バッテリーの持ち時間という問題があります。短い通話なら大丈夫ですが、オンライン飲み会を検討する場合、バッテリー切れになることもあります。
PCのマイクを使う場合、イヤフォンをするだけでエコーが出ません。スマホや音楽プレーヤーに標準添付されているような安いイヤフォンでも、ないよりは1億倍マシです。
ただし、お使いのPCのがマイク入力に対応しているかという確認は必要です。普通のイヤフォンは3極(L、R、GND)ですが、ヘッドセットは4極(L、R、Mic、GND)です。PCによっては前面端子は3極なんてのがあるかもしれません。音拾えないなあ……と思ったら、そういう観点で確認してみてください。
また通話でネックになりがちなのがビデオ通話です。回線の遅い人がいる場合はビデオ通話をオフにできるならオフにしたほうがスムーズに通話できます。ビデオ通話において映像が占める通信帯域は相当なものです。特にアップロード帯域を食うので、それが問題になるような細い回線(通信容量に制限がある無線回線やADSLやCATVなどの細い回線)を使っている人は注意してください。
また、適宜ミュートを活用するようにしましょう。呼吸音、キータイプ音、服との擦過音などが入ることがあります。多人数の場合、妙に雑音レベルの高い人がいたりもします。手元ですぐにミュート切り替えできます。
イヤフォン、ヘッドフォンをつけて大音量で音を聞き続けると、耳の音を聴く細胞に不可逆的なダメージが入って、難聴になってしまうケースがあるそうです。
ちなみに対策としては以下のようなものがあるようですよ。
・スピーカーでも聴く
・聴く音量を下げる
・左右交互に聴く
日常的にイヤフォン、ヘッドフォンを使っていると、つい音楽を聞きながら仕事をしたりもしてしまいがちですし、四六時中オンライン会議をされている方もいらっしゃるかと思いますが、健康に気をつけてオンライン生活をしていきたいですね。
AirPods Pro など、ノイズキャンセリングイヤフォン・ヘッドフォンが流行っています。雑音を遮断してくれるので集中するのにとても向いていますが、ノイズキャンセリングは仕組み上、耳にダメージがありえます。
ふーれむさんが書いているように、大音量の音を聞き続けるとダメージが入って、難聴になるということですが、ノイズキャンセリングだと音を相殺するため、あまり大音量の音を聞いている感覚がありませんが、耳へのダメージは通常のイヤフォン・ヘッドフォンよりも気をつけなければいけません。
仕組みとして音波を相殺する逆位相の音波をぶつけることで、音を聞こえなくしていますが、当然のことながらそれは人間の耳に聞き取れないというだけで、エネルギー自体が消えるわけではありません。
ノイズキャンセリングする場合は、通常のイヤフォン・ヘッドフォンよりも音量を落とすことをおすすめします。
医師・医療従事者ではないので、こういう話もある、というレベルで聞いてほしいのですが、長時間イヤフォン・ヘッドフォンをつけることで、外耳炎になる例が増えているそうです。
特に耳に挿入するタイプのイヤフォンを使っている場合、また汚れている場合などに多いそうです。かゆみがあるとか、痛みがあるなどの場合は耳鼻科に相談しましょう。対策として、イヤフォンをやめてヘッドフォンにするとか、スピーカーを使うなど。あるいはリモート会議の時だけにするなどもよさそうですね。
仕事の様式が変わることで思いもよらないトラブルが出てくることも十分にあり得る話です。あれ?と思ったら病院行きましょう。