実験とは、A/Bテストができる機能のことです。A/Bテストとは何かというと、ユーザーをランダムに振り分けて、あるユーザーにはAのパターンを見せて、別のユーザーにはBのパターンを見せるというテストのことです。ただ見せるだけではなく、その結果ユーザーの行動がどのように変わったのかをデータで分析し、今後の運営に役立てることができます。実験はテストなのですが、ユーザーからすると、実際にリリースされたものとして見ることができます。実験の結果、ユーザーの反応が良いものを、最終的に機能として確定させるというのが一般的です。
今回は、「ボタンの色を変える」という実験を登録してみます。サイドバーの「実験」を選択することで、実験機能を見ることができます。「新しい実験」から、実験を登録していきましょう(図2.2)。ちなみに、「自動化 > A/Bテスト」と進むとA/Bテストを登録するところがありますが、今後この機能は実験機能に置き換わります。A/Bテストの機能ではなく、実験機能を使用するようにしましょう。
すると、新しい実験を登録する画面になります(図2.3)。実験名は、「Button Color Change」にしました。説明の下には、実験を開始する日時と終了する日時が指定できます。日本時間ではなくUTCになっている点に注意してください。登録をしようとしている日本時間は20:40頃ですが、その9時間前がUTCになるため、11:40が表示されています。期間の初期値は2週間です。1日間〜90日間まで実験ができるので、必要に応じて期間を変更してください。実験の参加者は、すべてのプレイヤーとセグメントで選ぶことができます。例えば、「課金したことがないユーザー」というセグメントを作成しておき、「課金したことがないユーザーがボタンの色によって課金率が変わるのか」なども調べることができますね。今回は、すべてのプレイヤーで実行することにしました。
次に、バリアントを登録していきます。Aの方が「制御」、Bの方が「処置」と訳されているところがありますが、これはもともと「Control」と「Treatment」という英語です。Controlはベースとなるバージョンのことで、Treatmentは何か修正を加えたバージョンのことを指します。つまり、パターンCやDを増やしたとしても、それらはすべてTreatmentになり、ベースとなるControlはひとつだけです。今回は、ボタンの色が赤をベースとして、青色を試してみるという実験にしました(図2.4、図2.5)。
項目 | 入力内容 |
---|---|
バリアント名 | A |
対象プレイヤーに対する割合 | 50 |
バリアントの説明 | ボタンの色が赤 |
制御変数名 | color |
制御変数値 | red |
項目 | 入力内容 |
---|---|
バリアント名 | B |
対象プレイヤーに対する割合 | 50 |
バリアントの説明 | ボタンの色が青 |
処置変数名 | color |
処置変数値 | blue |
下書きとして保存することもできますが、今回は「今すぐ実行」としました。実験の登録が完了すると、図2.6の画面になります。「今すぐ実行」をしたので、ステータスが「実行中」になっていることが確認できますね。
BANとは、日本語で「禁止」という意味で、プレイヤーをプレイ禁止にすることをいいます。ゲームを遊んでくれるのは嬉しいことですが、不正をされたユーザーを放置していては、ゲームが成り立たなくなってしまう可能性があります。不正とは、具体的に次のようなものです。
処理をサーバーで実行することで、ある程度の不正を防ぐことはできますが、100%ではありません。何か不正をしたプレイヤーに対しては、「プレイ禁止」という対応をするのが一番効果的です。PlayFabでは、アクションとルールの機能と組み合わせることで、不正を自動で検知してプレイヤーをBANすることができます(図5.1)。
不正の検知を自動化するには、ふたつ方法があります。
どちらも同じような処理ができますが、今回はアクションとルールを使用して設定をしてみます(図5.2)。イベントタイプは、player_statistic_changed
を指定することで、ランキングが変わったタイミングで処理を動かすことができます。HighScoreのランキングで、スコアが10,000,000を超えた場合にBANするようにしました。BANするには、アクションのところで「プレイヤーを禁止にする」を選びます。禁止期間については、空欄にすることで無期限となります。最後に、禁止の理由を入力して登録すれば、準備完了です。ちなみに、セグメントで登録した場合は、図5.3のようになります。
実行してみると、図5.4のログが出てきて、BANされたことが確認できました。プレイヤーの詳細画面の「使用禁止」から、BANの詳細情報を確認することができます(図5.5)。また、BANされたプレイヤーでログインした場合は、エラーでログインすることができません(図5.6)。ユーザーには、BANされたことをメッセージで伝えてあげましょう。