目次

前書き
はじめに
メニュー操作の表記
注意
ターゲット
参考文献
ツール
第1章 Riderの概要
1.1 Riderとは
1.2 Riderのインストール
1.3 UnityのスクリプトエディターとしてRiderを設定する
第2章 基本機能
2.1 Search Everywhere
2.2 Context Action
2.3 Find in Files
2.4 Replace in Files
2.5 ジャンプ機能
2.6 Find Usage
2.7 Refactor
第3章 フォーマットとコード整形
3.1 Preferencesの設定
3.2 Reformat Code
3.3 Code Cleanup
3.4 Actions on Saveによる自動Cleanup
第4章 デバッグ
4.1 Riderの基本のデバッグの操作
4.2 条件付きブレークポイント
4.3 ブレークポイントの詳細設定
4.4 Evaluate Expressions
4.5 Immediate Window
第5章 コード生成
5.1 Generate code from usage
5.2 Live Template
第6章 Unity用の機能
6.1 Unity上のログ表示
6.2 Unity用のスクリプトのテンプレート
6.3 Find Usage in Unity
6.4 Unity用のLive Template
第7章 その他の機能
7.1 テーマの設定
7.2 プラグインの設定
7.3 チーム内での設定管理
7.4 IL Viewer
おわりに

前書き

はじめに

 この度は本書を手に取っていただき、ありがとうございます。本書はJetBrains謹製のIDE「Rider」について便利なTipsをまとめた本です。Riderの使用を検討している方や、Riderの機能について少しでも把握しておきたいという方に向けて、筆者が便利だと感じている機能をおもむくままに紹介しております。すべての機能を網羅しているわけではないのでご注意ください。IDEの使い方を基本的な部分についても説明しますので、すでに知っている機能などは読み飛ばしていただくことを推奨します。

 また、Unityアプリケーションに寄り添った内容となっており、Unity向けの機能の紹介を入れたり、一部機能の説明にUnityでの例を使用しています。本書の中で登場する言語もC#です。内容の大半はUnity以外の.NETアプリケーションやUnreal Engineなどの開発にも共通する知見となっていますが、ご留意ください。

メニュー操作の表記

 本書でRiderの機能を操作するにあたって、該当機能を実行するためのメニューの操作およびキーバインドのショートカットは四角で囲って表記します(電子書籍版では四角の囲みはなく、「->」という記号を用いた表記のみです)。また、IDE自体の設定項目にあたるPreferencesの操作についても同様に表記します。

注意

 本書を書くにあたって、各ツールの検証は筆者がRiderを使用しているmacOSで行っております。また、文中ではキーバインドのショートカットを何回も紹介していますが、すべてmacOSのキーバインドで紹介しています。別のOS環境のショートカットが知りたい方は、公式ドキュメントを参考にしてください。

キーボードショートカット

 https://pleiades.io/help/rider/mastering_keyboard_shortcuts.html#learn-shortcuts

ターゲット

 本書は、以下のような読者を対象としています。

 ・IDEを使った開発経験が浅く、どのような機能があるかを知りたい方

 ・Rider未経験だったり、使用しているが機能の概要をあまり把握していない方

 ・UnityやUnreal EngineといったRiderを活用できるアプリケーションの開発をされている方

 ・Unityの開発でのRiderの活用方法が知りたい方

参考文献

 本書では、Riderの一部機能についての紹介を行っています。これらを書くにあたって、下記の公式ドキュメントを大いに参考にさせていただきました。

 ・Rider機能一覧: https://www.jetbrains.com/ja-jp/rider/features/

 すべての機能について紹介しているわけではなく、また、紹介している機能についてもすべての内容に言及しているわけではありません。それらの詳細が知りたい方は、こちらを参考にしてください。

ツール

 本書で使用しているツールやライブラリーのバージョンは以下の通りです。

 ・Rider 2022.1.2

 ・Unity 2021.3.0f1

 以上のバージョンに差異がある場合、挙動について異なる場合がありますのでご注意ください。

第1章 Riderの概要

 本章ではまず、Riderを使ったことがない方向けに概要を説明します。もちろんRiderについてすでにご存知であったり、もう使用されているという方は、本章は飛ばしてください。

1.1 Riderとは

 Riderは、JetBrainsが提供する.NET環境の開発を対象にしたIDEです。JetBrains公式では、次の一文で説明しています。

JetBrains Riderは、IntelliJプラットフォームとResharperをベースにしたクロスプラットフォームの.NET IDEです。

 JetBrainsといえば、IntelliJという有名なIDEを開発している会社ですが、Visual Studio向けにResharperという.NET開発むけのプラグインを提供しています。RiderはこのResharperの機能をWindows以外のOSでも使えるよう、IntelliJをベースにIDEとして作ったものです。昨今ではUnityがモバイルゲーム開発に採用されるケースが多く、iOSビルドやXCodeによるデバッグなどを加味したmacOSでの開発需要が存在します。その際にVisual Studioの代わりとして採用されるのがRiderというわけです。ちなみにVisual Studio for Macも存在しますが、Resharperは非対応となります。

 また、Riderは基本的には有償となります。2022年10月から少し値段が上がります。一定期間無料でトライアル利用することも可能です。RiderをメインのIDEとして活用していくことを検討されている方は、ライセンスとその値段1について確認してください。

1.2 Riderのインストール

 公式サイトから直接インストーラーをダウンロードすることも可能ですが、JetBrains Toolbox App2からもインストール可能です。JetBrains Toolbox AppはJetBrains製のツールを管理するもので、無料で提供されています。IDEのインストールやそのバージョン管理などを行えるため、非常に便利です。バージョン管理なども考えると、JetBrains Toolboxからのインストールを推奨します。

図1.1: JetBrains Toolbox App

 Riderをインストールしたら実行し、テーマやプラグイン、ライセンスの初期設定が始まるので、進めてください。ライセンスが正常にアクティベートされて、エディターに入力したり機能が使えるようになっていれば完了です。ライセンスのアクティベート自体は、Help->Manage Licenseから確認してください。

図1.2: Manage License

1.3 UnityのスクリプトエディターとしてRiderを設定する

 UnityとRiderをすでに組み合わせて使っている方には不要な情報なので、飛ばしてください。

 Unityを使う上でスクリプトの生成や編集のとき、Riderで開くためにはUnity側の設定を行う必要があります。PreferencesよりPreferences->External Toolsの項目を開くとExternal Script Editorがあるので、インストールしたRiderを指定します。

図1.3: External Toolsの設定

 バージョンの違うRiderを適用する際も、この設定の手順で指定する必要があります。

1. https://www.jetbrains.com/ja-jp/rider/buy/#personal

2. https://www.jetbrains.com/ja-jp/toolbox-app/

試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。