目次

はじめに

問い合わせ先
謝辞

第1章 英語を「学ぶ」

1.1 DMM英会話で英語登壇の練習する
1.2 言葉のVisualization
1.3 ゲームで英語学習
1.4 なぜゲームなのか
1.5 ゲームでの学び方
1.6 英語の強制力
1.7 リスニングとスピーキングを強化する

第2章 英語を「使う」

2.1 使う場所を自分で作る
2.2 Globalカンファレンスに参加する
2.3 AI翻訳にどこまで任せるべきか
2.4 コミュニケーションを少し深める言い回し
2.5 カンファレンスに登壇しよう

第3章 英語を「活かす」

3.1 英語を学んでキャリア選択が広がった
3.2 業務メールを英語でスムーズにやりとりするためのTips
3.3 英語ミーティング、どうやって乗り切ってますか

第4章 英語を学ぶのに便利なツール

4.1 英文のチェックに使えるサービス
4.2 お役立ちPodcastチャネルの紹介
4.3 TEDと関連アプリで英語力を強化しよう
4.4 オンラインミーティングで使える字幕機能
4.5 電子書籍の活用
4.6 スピーキング強化に利用できるアプリ

はじめに

 本書は英語学習の本ではありません。本書を読んでも英語が話せるようにも、読み書きが上手になる訳でもありません。では本書は何かといえば、あなたの英語習得意欲を刺激する本になります。

 20数年前、仕事でオランダにいった時のことです。急遽、オランダの片田舎からドイツのホテルまで一人で帰ることになりました。当時Google Mapsはなく、地図を片手に移動していました。そんな中、1つ目の目標だったアムステルダムの手前で電車を降りてしまったことがあります。周囲にいる人たちへ聞いても英語を話せる人はおらず、駅のホームで絶望的な気分を味わっていました。

 そんな時、片言の英語で話しかけてくれる人がいました。彼は一緒にアムステルダム駅まで移動し、さらに切符を買ってドイツへ移動するための電車まで案内してくれました。彼がいなかったら、その日中に移動できていたか分からなかったでしょう。何が言いたいかというと、20数年前のオランダでは、ほとんど英語を話す人はいなかったということです。現在、オランダではほとんど誰もが英語を話します。幼稚園から一日1時間程度の英語学習があると聞いたことがあります。そこには経済のグローバル化であったり、EUのように人の行き来が自由化する中で状況が変わってきたということも挙げられるでしょう。

 同じく20数年前の日本では、技術系文書の多くは英語のものでした。特にプロトコルであったり、技術仕様などの低レイヤの文書になればなるほど、日本語のものを探すのは難しかったように覚えています。そこで当時立ち上がり始めたばかりのAmazon.comで書籍を購入して、翻訳しながら理解を深めていました。現在、多くの技術書は日本語で読めるようになり、オンラインでも日本語情報へたどり着けるようになっています。

 これはなぜかというと、経済規模や市場規模が大きな意味をもってきます。つまり英語の技術書を日本語に翻訳して販売しても十分な利益が見込めるのです。逆に少数の人たちしか話さない言語であったり、経済規模の小さい国では英語の技術書を読むのが当たり前になっています。日本と同様に中国は国内市場が大きいため、今では英語を話したり、日本語を話す人たちは極端に減っています。自分たちの生活状況によって、英語のような第二言語を学ぶ需要が変わってくるのです。

 では将来の日本を考えてみましょう。現在の日本は世界的には経済規模が第3位となっています。日本の開発者も多く、日本語しか喋れないとしても十分に生活できています。しかし、あなたもご存じの通り、日本では高齢化が進んでおり、生産年齢人口も減っています。ある予想によれば、2030年でGDPは第4位(インドに抜かれる)、2050年には第8位まで落ちるといわれています。現在のインドネシアくらいの位置付けになります。そうした経済規模では、現状と同じくらい日本語コンテンツが出なくなっている可能性もあるでしょう。

 今から30年後というと、今20代の人たちは働き盛りでしょう。もちろん市場規模は一気に急落するわけでありません。今働いている人たち全体に、徐々に関わってくる話といえます。人口が一気回復しないのと同様に、今後2〜30年後の状態を現在から予想するのは難しくありません。

 悲観的な予想を目の当たりにするのはつらいですが、知っておくのは大事です。日本という国はともあれ、あなた個人の生活は今から変えられるからです。すでに未来を知っているのに、何もせず20年後を迎えるのは危険ですし、無計画すぎます。少なくとも自分自身、そして自分の家族だけでも幸せに生活できるよう、前もって準備しておくべきです。

 本書はそんな自分を変えたいと思った方向けの本になります。著者がそれぞれの経験を共有し、刺激を与えてくれるでしょう。すごいテクニック、銀の弾丸はありません。自分たちなりの、身の丈に合ったやり方を行っただけです。著者の多くは開発者としての経験があり、皆さんと同じようなキャリアを歩んでいます。10日で習得する、100単語で話せるといった、聞こえの良い言葉で済まそうとは考えていません。ただ、すぐにでも始められる方法を通して、あなたに刺激を与えてくれるでしょう。

 最後に。本書はDevRel Meetup in Tokyoというコミュニティの参加メンバーによる共著になります。DevRelはDeveloper Relationsの略で、開発者とのコミュニケーションを通じて、サービスや製品と開発者とで良好な関係性を築くためのマーケティング活動になります。本書を通じてDevRelへの関心を持ってもらえれば幸いです。

問い合わせ先

 本書に関する質問やお問い合わせは、次のページまでお願いします。

 ・URL: https://devrel.tokyo/books/learning-english

謝辞

 本書はDevRel Meetup in Tokyoのコミュニティメンバーで執筆しています。皆さん、普段の仕事があり、締め切りまでの時間もない中で何とか書き上げました。お疲れさまでした。

試し読みはここまでです。
この続きは、製品版でお楽しみください。