はじめに
第1章 Outlook VBAを使ってみよう
第2章 Outlook VBA入門
第3章 各種サンプルコード
第4章 Excelでメール作成入門
第5章 イベントマクロ
第6章 Outlook VBAの応用例
おわりに
皆様はお仕事では何の作業に時間を要しているでしょうか?
この本を手に取っていただいた方の多くは、Excelでの表計算やデータ処理に多くのパワーをかけていることかと思います。しかし、一日に占める業務時間のうち、Excelを本当に活用した業務の割合はそこまで多くないのではないでしょうか?
日本人の日常業務時間についてGoogleで調べると「会議」「資料作成」「メール」の3つが大半を占めているという結果が散見されます。筆者もメール処理に多くの時間が奪われている実感があります。
そこで、次のようなことができたとしたら、とても便利であり、大きな効果を生むと思いませんか?
・所定の文章が書かれた返信メール下書き作成
・ボタン一つで日報作成
・ボタン一つで受信メールデータと添付資料を一瞬で保存
これを実現できるのがOutlook VBAです。
一方で、Outlook VBAを習得する環境が整っているとは言い難い状況です。書店にExcel VBAに関する書籍が多く並んでいますが、Outlook VBAに関する書籍は殆ど見つかりません。
この状況を背景に、Outlook VBAの入門書として本書を執筆しました。
本書により、以下のOutlook VBAスキルを習得することができます。
・Outlook VBAのオブジェクト構造の理解
・メール・タスク・スケジュール作成の基本コード
・ExcelからOutlookメールを作成する基本コード
・Outlookイベントマクロ
これら基本事項を理解することができれば、Excel VBAのスキルをそのままOutlook VBAに応用することができるでしょう。
Outlook VBAにより、皆様の業務効率向上のお役に立てることができましたら幸甚です。
さっそくOutlook VBAを使ってみましょう。
本章は、Outlook VBAを扱うための環境構築、サンプルコード、ボタンの登録方法について解説いたします。
Outlook VBAもExcel VBAと同じく、デフォルトでは[開発]タブが表示されていません。
そこで、以下の手順でリボンに開発タブを表示させます。
まず、Outlookを開き、[ファイル]をクリックします。
次に[オプション]をクリックします。
[リボンのユーザ設定]をクリックし、右側の[リボンのユーザ設定]ボックスの[開発]チェックボックスにチェックを入れます。
以上により、リボンに[開発]タブが表示され、Visual Basicやマクロのアイコンが表示されます。
これでOutlook VBAの環境構築ができました。
開発タブのVisual Basicアイコンを押すか、[Ctrl] + [F11]を押して、Visual Basic Editor(以下、VBE)の画面を開きましょう。
Excel VBAを扱った方はこの画面は見慣れていると思います。使い方は全く同じです。[挿入]タブから[標準モジュール]を追加します。
これで標準モジュール「Module1」が生成され、エディタにコードを記載できる状態になります。
これでコーディングする準備は完了です。Excel VBEとOutlook VBEは見た目も含めて使用感はほとんど同じです。
メールを作成するマクロを作ってみましょう。
次のコードをVBEに記載してください。
Sub SampleMail()
'メールアイテムオブジェクトの作成
Dim objMailItem As Object
Set objMailItem = CreateItem(olMailItem)
With objMailItem
'各種プロパティ設定
.To = "testAddress@xx.xx" '正宛先
.CC = "CCtestAddress@xx.xx" 'CC宛先
.BCC = "BCCtestAddress@xx.xx" 'BCC宛先
.Subject = "テスト件名" '件名
'本文
.Body = "テスト本文1行目" & vbCrLf & _
"テスト本文2行目"
'メールを表示する
.Display '作成メールを表示
End With
End Sub
これを実行ボタンで実行してみましょう。この操作もExcel VBAと同じです。
メール下書きが一瞬で作成されます。
いかがでしょうか?これがOutlook VBAです。「一瞬でメールを作成するマクロ」ができ上がりました。