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ポップな経済学
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ポップな経済学

発売日 : 2018年8月25日
想定ページ数 : 256ページ
ISBN : 9784799323557
全文検索 : 近日対応
「予測は難しい。とりわけ未来の予測は難しい」
 偉大な量子物理学者ニールス・ボーアが言ったとされるこの言葉から、本書を始めたい。
 未来について話す本。未来に向かって進もうとする本だ。

 これから何が私たちを待ち受けているのだろう。それをこの目で見ることはできないが、せめて手探りででも準備できることはあるかもしれない。
 そこで、なるべくたくさんの事実を紹介することを、この本の最大の目的とした。

 本書に、世界を救う処方箋が書いてあるなどとは期待しないでほしい。最新の理論もない。人々が願ってやまない、奪い取らなくてはならない、ここにしか書いていない真実などというものもない。
 So What? だからなんだって?

 私がこの本を書いたのは、世間で“Disruption”が叫ばれる今の時代に、まだ答えのない多くの問題を明らかにして、新たな課題を提起するためだ。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが「創造的破壊」を唱えていたように、Disruptionすなわち、「破壊」という言葉が、近い将来「創造的」という形容詞が似合う言葉になることを願って。

 本書では、経済に応用されるテクノロジーの歩みをたどっていく。経済学は今、その姿を大きく変えつつある科学だ。それは経済危機のためでもある。危機はそれを予見すべきであった経済学者を追い詰めている。しかし、科学という言葉を使う以上、経済学も他の科学と同様、これまでも進化してきたし、これからも進化して、時代のうねりの中で人々が声高に求める変化の要求に応えていくものであることを述べておく。

 そして経済学は、何よりも人の選択を研究する分野である。実際に、選択に起因する逸失利益(本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益)であるオポチュニティ・コスト、トレードオフ、インセンティブといった言葉はすべて、選択の要因にまつわる用語だ。
 だから本書では、望むと望まざるとにかかわらず、私たちを巻き込んでいくエクスポネンシャル(直訳すると「指数関数的」を意味するが、これまで支配的な地位を築いてきた業界内の企業に対し、新たな競争を迫る「前例なきディスラプション」を前提とする概念)な時代の中で迷子にならないように、そして、進むべき道を見極められるように、テクノロジー・イノベーションのおかげで生まれるたくさんの可能性を整理して、わかりやすく解説する。

目次

序章
未来の雇用の衝撃
夢の未来が現実に
未来の雇用をよく見てみよう
第1章 テクノロジーが、経済学の手法も進化させている!
相関関係は因果関係ではない!
見かけ上の因果関係にひきずられるな
施策の有効性に関して科学的に堅固な答えを得る唯一の方法
変わりゆく現実に主体的に関わる主人公となる
第2章 現代の魔法の言葉「ナッジ」!
「ナッジ」を知っていますか?
私たちの選択に影響を与えているもの
4つのナッジを経済政策に利用する
ケーススタディ:正しく真似て学んでいく
ナッジをつくる前に知っておくべき私たちの意思決定のプロセス
ナッジをつくろう!
第3章 「ゲーミフィケーション」を巧みに活用する
「ゲーム」のメカニズムを理解しよう
ゲーミフィケーションに決定的な役割を果たす2つのファクター
ゲーミフィケーションを特徴づける7つの要素
ゲーミフィケーション、失敗のケーススタディ
ゲーミフィケーション、成功のヒント
第4章 クラウドファンディングの台頭
資金調達の手段が変わった!
クラウドファンディングは金融機関から融資を受けられないときの頼みの綱ではない
クラウドファンディングの4つのタイプ
クラウドファンディングに関するデータをいくつか
第5章 情報社会が抱えるリスク 情報カスケードとデマの蔓延
情報社会のイノベーションが抱えるリスク
いかにして陰謀説が生まれるのか?
陰謀説はどのように拡がるのか?
政府は、デマの流布に対して、どんな対策がとれるのか?
ヘイトスピーチに、表現の自由はあるのか?
「忘れられる権利」が認められるとき、そうでないとき
SNSは、私たちの暮らしの質を上げているのか?下げているのか?
不道徳な行為の経済学
第6章 ビッグデータが統計におけるコペルニクス的大革命を起こす
ビッグデータとは要するに、何なのか?何が変わったのか?
データフィケーションの先駆け
ビッグデータによるデータフィケーションは、グーテンベルグ以来の大革命
Googleインフルトレンドが示した世界
ビッグデータを盲信する危険
ビッグデータの管理とリスク
第7章 暮らしの質を測る新しい指標とテクノロジー
GDPの代替指標を求めて
国連の人間開発指数HDI
真の進歩指標(GPI)
地球幸福度指数(HPI)
より良い暮らし指標(OECD:経済協力開発機構)
公正で持続可能な幸福(イタリア国家統計局)
ビッグデータで幸福度の指標はどう変わる?
Wired Next Index
Track Your Happiness(幸福追跡装置)
(Sample) Size Matters
Mappiness
Hedonometer(幸福測定計)
第8章 デジタル革命が大学と教育を変える
これからの教育を変える「MOOC」
MOOCはビジネスとしても成り立つか?
生涯学習、人口増加……これからの課題にMOOCは対応できるか?
第9章 超接続社会におけるネットワーク
SNS時代、ネットワークサイエンスの重要性が高まっている
さまざまなネットワークとその共通性
強いつながりと弱いつながり
フェイスブック時代におけるソーシャルネットワークの検証
フェイスブックを用いて行われた社会実験の衝撃
これから世の中はどうなっていくのか?
最終章 未来はあなたを待っている
今日、世界が滅亡すると思うなかれ。オーストラリアはもう明日になっている
私たちの未来を創るのは私たち自身である
『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』の6つの「D」でつかむビジネスチャンス
変化をとらえて変貌した企業

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