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使える哲学
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使える哲学

発売日 : 2015年12月17日
想定ページ数 : 168ページ
ISBN : 9784799318232
全文検索 : 非対応
西洋の哲学書を読んでいると、わかりにくいところにぶつかる。
翻訳によって無理やりつくられた哲学用語が難解なせいもあるが、西洋人の思考の根本的なところが、日本人には腑に落ちないのではないか。
では、それはいったい何なのか? 
著者が気づいたのは、西洋人の思考には「向こう側」の世界というものが存在するということだった。

「向こう側」というと「あの世」とか「神の存在する世界」とか思うかもしれないが、そうではない。
西洋人の思考では、われわれの五感に感じる世界は「こちら側」で、こちらからは見えない、感じられない「向こう側」の世界というものがあるらしいのだ。
その「向こう側」は日本人の考える「あの世」ではなく、「この世」に属する。そして神のいる世界につながっているのである。
「向こう側」にはわれわれには感じられないが、「こちら側」の世界の根拠になるようなものが存在している。そう考える西洋人は「向こう側」を探求し、目に見えない、感じられない物質の存在を発見し、近代科学を興隆させた。

しかし、そのように近代科学を発展させるのに貢献したのは西洋哲学の中でもイギリスの哲学だった。明治以来日本で重んじられてきた、カントやヘーゲル、フッサールなどのドイツ哲学は「向こう側」を否定し「こちら側」だけで教養を磨けば精神の高みに到達できると説き、近代科学に貢献しないばかりか、人々をいたずらに観念に迷わせることになったのだった。

では「向こう側」をどのようにすれば知ることができるのだろう?
著者によれば「向こう側」を知る方法には「直感・超越」「にじり寄り」「マーカー総ざらい」といった方法ものがある。
たとえばビル・ゲイツがソフトウェアとハードウェアを分けることを思いついたのは「直観」であり、グーグルの創業者の発想は「マーカー総ざらい」となる。
「向こう側」へのアプローチは近代科学を興隆させたが、現代でもビジネスの現場でイノベーションが起こることに貢献しているのだ。

また「向こう側」の根拠を考えるようにすれば、生きている意味や仕事をしている意味を実感できるようになっていく。ただしそれには個々の「自分」が生きている意味や働く意味ではなく、人間の根拠であり自分の従事している業種の根拠を考えることだ。

哲学が真理を教えるものだというのもドイツ哲学の悪い影響である。哲学というのはただ、哲学者が人を説得しようとしている話を聞く(読む)というだけで、別に真理を教えているわけではない。もしそこに自分にとって役立つ考え方があったら、それを利用すればよいだけなのだ。

本書は、哲学を「学ぶ」のでも「信じる」のでもなく「使う」ことを読者に勧めるためのものだ。ビジネスパーソンでも医師でも、教師でも学生でも主婦でも、それぞれの場所で「向こう側」を探求して、イノベーションを起こしていっていただきたい。

目次

はじめに
1 日本人には見えなかった西洋哲学の秘密
日本人の思考と西洋人の思考、最も大きな違いとは?
DNA発見の源はアリストテレスにあった
西洋哲学の根本にある「向こう側」
見えないものにたどり着くには?
「向こう側」を無視したドイツ哲学の失敗
なぜ日本人はドイツ哲学が好きだったのか?
2 「向こう側」からイノベーションが起こる
「向こう側」を知る4つの方法
ビル・ゲイツの「直観」
直観は訓練で身につく
直観が来たらすぐ言語化せよ
そして「説得」が必要になる
先見性がなければ失敗するしかない
「チャレンジし、実践する」
3 「使える学問」と「使えない学問」
「使える学問」「使えない学問」そして「噓の学問」
学問の淘汰が始まっている
どんな学問が使えないか?
細分化した学問をどう間引くか
「先見性の失墜」
「実学」とは、今を説明できる学問のこと
近代=普遍知の時代が終わった
力を失った左翼知識人
4 仕事の意味、生きる意味を見つける
理想は人に迷惑をかける
「向こう側」の根拠を目指せ
生きている意味は「こちら側」にはない
「向こう側」からミッションを得る
哲学を難しくする必要はない
脱構築の危険
「向こう側」の根拠を無視した「虚構」
「向こう側」の根拠はないが役に立つこともある「擬制」
「直観」した朝鮮半島の歴史
擬制と虚構の中で生きる
個人的に悩むのは意味がない

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