なぜ、日本製品は中国で大人気なのに、日本企業は十分に成功していないのか?
なぜ、中国ではコネがまかり通るのか?
なぜ、中国では契約や法律が当てにならないのか?
日本人の義理と中国人の義理はどこが同じでどこが違うか?
ビジネス等で中国人と交流を持つ人々で、「いったい全体、なぜそうなるんだ?」「どうして、そうなんだ?」と、相手の考え方や行動に理解不能なものを感じる人は多いだろう。
戦後、奇跡的な復興を遂げ、1980年には競争力ランキングで世界一に躍り出た日本経済は、欧米にとって摩訶不思議な存在であり、当時の米国経営学会は、徹底的にその競争力源泉とメカニズムの解明にあたった。その結果生まれた「ケイレツ」「カイゼン」という語は、世界中で日本経済を説明する学術用語として定着している。
それから30年。中国のGDPは日本を超えた。今度は中国経済の鍵を解明する動きが活発化し、「ケイレツ」に匹敵するものとして注目を浴びているのが華人社会の「グワンシ」という概念なのだ。
中国人のなかに自然に根付いている二つの行動原理がある。一つが、孫子の兵法。もう一つが「グワンシ」だ。漢字で書けば「関係」。文字通り、中国人の人間関係のつくり方の原理なのである。兵法は相手を突き放すベクトル、グワンシは相手を内側へ取り込もうとするベクトルだといえる。この二つの行動原理が、相手によって使い分けられる。兵法は「外人」と呼ばれるアウトサイダー、部外者に対するときの行動原理で、グワンシのほうは「自己人」と呼ばれるインサイダー、つまり内輪・身内に対するときの行動原理なのだ。
組織を重んじる日本的ビジネス形態とその背後の価値観からは、「グワンシ」は理解しがたい概念だが、かつて「ケイレツ」は米国にとって理解しがたい概念だった。自由、公正、平等を標榜する欧米型市場主義社会にとって、このような排他的関係性社会は容認できるものではなかったからだ。そして、その「排他的関係性社会」がいま台頭する中国にもある。それが「グワンシ」なのだ。
日本では関係性が組織を軸に構築されるが、中国では個人を軸に構築される。違いはそれだけだ。排他的なのは共通なのだ。「グワンシ」は、視点を変えれば日本人には理解できない概念ではない。ここに気づけば、難しいと思われる中国ビジネスも楽になるのではないだろうか。
目次プレビュー
- はじめに 古田茂美
- 第1章 中国理解と進出の鍵、グワンシ [デイヴィッド・ツェ]
- 第2章 グワンシの、欧米や日本の人的「関係」との決定的な違い[デイヴィッド・ツェ]
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1 日系企業のスト事件、なぜ起こったか? [デイヴィッド・ツェ]
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日本企業に真っ先に必要なのは、 従業員との対話。 対従業員のグワンシ
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真の問題は、給与格差そのものではなく、 従業員を理解しようという センシティビティの不足
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従業員の立場になって、 彼らを理解すること。 優秀な人ではなく、適切な人を雇うこと
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2 グワンシの肯定的側面を、いかに有効活用するか?[デイヴィット・ツェ]
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グワンシで扉を開けたら、 後は、実績で、関係を築く
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日本企業によくあるケース 1 会社だけでなく、個人的に利益を得ようとする 中国人社員をどのように評価すべきか?
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日本企業によくあるケース 2 一人の中国人社員のグワンシに頼らないですますには、 どうしたらよいのか?
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ダブルチェック、モニタリングは、 必要か?
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3 中国人の特性を生かし学び、幸福な「関係」をつくる[古田茂美]
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同業他社への転職を祝い、 その後も、グワンシをもち続けることで 資源を増やすイオンの場合
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中国人の「公」への「私的関与」の特性を インセンティブとして、 モチベーション管理に活かす
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中国人の特性を活かし、 中国人の特性から学び、 幸福な関係をつくる