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中国人との「関係」のつくりかた
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中国人との「関係」のつくりかた

発売日 : 2012年7月20日
想定ページ数 : 280ページ
ISBN : 9784799311943
全文検索 : 非対応
なぜ、日本製品は中国で大人気なのに、日本企業は十分に成功していないのか?
なぜ、中国ではコネがまかり通るのか?
なぜ、中国では契約や法律が当てにならないのか?
日本人の義理と中国人の義理はどこが同じでどこが違うか?

ビジネス等で中国人と交流を持つ人々で、「いったい全体、なぜそうなるんだ?」「どうして、そうなんだ?」と、相手の考え方や行動に理解不能なものを感じる人は多いだろう。

戦後、奇跡的な復興を遂げ、1980年には競争力ランキングで世界一に躍り出た日本経済は、欧米にとって摩訶不思議な存在であり、当時の米国経営学会は、徹底的にその競争力源泉とメカニズムの解明にあたった。その結果生まれた「ケイレツ」「カイゼン」という語は、世界中で日本経済を説明する学術用語として定着している。

それから30年。中国のGDPは日本を超えた。今度は中国経済の鍵を解明する動きが活発化し、「ケイレツ」に匹敵するものとして注目を浴びているのが華人社会の「グワンシ」という概念なのだ。

中国人のなかに自然に根付いている二つの行動原理がある。一つが、孫子の兵法。もう一つが「グワンシ」だ。漢字で書けば「関係」。文字通り、中国人の人間関係のつくり方の原理なのである。兵法は相手を突き放すベクトル、グワンシは相手を内側へ取り込もうとするベクトルだといえる。この二つの行動原理が、相手によって使い分けられる。兵法は「外人」と呼ばれるアウトサイダー、部外者に対するときの行動原理で、グワンシのほうは「自己人」と呼ばれるインサイダー、つまり内輪・身内に対するときの行動原理なのだ。

組織を重んじる日本的ビジネス形態とその背後の価値観からは、「グワンシ」は理解しがたい概念だが、かつて「ケイレツ」は米国にとって理解しがたい概念だった。自由、公正、平等を標榜する欧米型市場主義社会にとって、このような排他的関係性社会は容認できるものではなかったからだ。そして、その「排他的関係性社会」がいま台頭する中国にもある。それが「グワンシ」なのだ。

日本では関係性が組織を軸に構築されるが、中国では個人を軸に構築される。違いはそれだけだ。排他的なのは共通なのだ。「グワンシ」は、視点を変えれば日本人には理解できない概念ではない。ここに気づけば、難しいと思われる中国ビジネスも楽になるのではないだろうか。

目次

はじめに 古田茂美
第1章 中国理解と進出の鍵、グワンシ [デイヴィッド・ツェ]
1 グワンシがいかに重要か?
  • 中国人は日本製品が大好き! それなのに、二十年も前から、中国に一番乗りした日本がなぜ、 中国で十分に成果をあげられていないのか?
  • グワンシこそが、 中国のあらゆる「関係」、 すなわち「資源」を開放する鍵である
  • 日本企業が取り組むべき 三つのグワンシ、 対従業員、対消費者、対地方政府
  • 「グワンシ」は、中国理解の鍵であり、 中国の固く閉ざされたいくつもの門戸を開く 文字どおりの「鍵」でもある
  • 中国は、その巨大さゆえに、 グワンシ、つまり、人と人との信頼関係の有無が 他国よりもずっと重要となる
2 グワンシがなぜ必要になってきたのか?
  • 中国人にとって、 身近な人とのグワンシがうまく管理できているのが 幸福な人生の条件
  • 危機的な状況で供給が不足しているときは、 まずは身内から守ろうと、 グワンシが資源配分の基準となる
  • 巨大な中国では、 もともとみんなを平等に扱うことは不可能。 グワンシによる管理が必要だった
  • グワンシのネットワークがあるからこそ、 現在の中国の経済的発展がある。 温州商人の場合
  • 温州の人たちは、 子どものころから、 グワンシづくりを教えられて育った
  • 温州の人たちは、 自分たちのネットワークと同時に、 顧客との信頼関係=グワンシづくりも大切にしている
3 グワンシは、どのように生まれ、根付いてきたか?
  • グワンシは 中国に人類が住み着いて以来ずっと存在し、 孔子がその理想の形を語った
  • グワンシの中にある世界、関係は、 いまも中国の人たちの ひとつの理想である
  • グワンシの他文化の「関係」との違いは、 「移転」ができることと、 非常に強い「互恵関係」
  • グワンシを形成する 三つのベース
  • 中国のグワンシは、 組織と国のルールをも超越する
  • 現在のグワンシのあり方は、 一九七九年以降の特殊なもの
第2章 グワンシの、欧米や日本の人的「関係」との決定的な違い[デイヴィッド・ツェ]
1 グワンシと他文化の ソーシャル・ネットワークとは どこが違うか?
  • グワンシが他国の人的ネットワークと異なる 極めて重要な三つの特徴
  • グワンシは、他の集団主義的文化、 家族主義的文化とも異なる
2 グワンシと日本の「和」は、どこが違うのか?
  • 日本は、集団優先、個人がその次。 中国は、個人優先、集団はその次。 優先順位が違う
  • 中国の個人主義は、 欧米の個人主義とは違う、 家族主義に基づくもの
  • 日本人にとって、〈私〉は、〈公〉の外。 中国人にとって、 〈公〉は、〈私〉の集まったもの
  • 集団で得たものを、拡張させていく中国人。 集団に縛られる日本人
3 中国社会と日本社会は 欧米社会とどこが違うか?
  • 法の下に個人の平等を理想とする欧米社会と もともと人間は平等ではない儒教社会
  • 中国人と日本人の自殺の理由。 家族に対する恥か? 会社に対する恥か?
第3章 グワンシの負の部分からいかに逃れ、その利点をいかに活用するか?[デイヴィッド・ツェ]
1 グワンシの最大の機能とは?
  • システムが未整備な状況では、 グワンシが資源をプールし、 再配分してきた
  • 一九七九年以降の改革・開放政策を受けて、 個人レベルの唯一の資本として、 グワンシが用いられる結果となった
  • 清朝崩壊後、共産主義が生まれるまでの 混乱の四十年間も グワンシの支配力が強まった時代
  • ルールは、インサイダーを、 アウトサイダーから守るためのもの。 そして、グワンシは生き続ける
  • 今後も、グワンシは、 ルールの下で、それを補完するものとして、 機能し続ける
  • 急激な技術革新と市場競争の激化が、 グワンシの影響力を相対的に弱体化する
2 グワンシによる腐敗事件、どんなことが起こっているのか?
  • 法制度の未整備と 集団より個人の利便を優先させるのが当然という文化的背景が 腐敗を起こしやすくしている
  • 福建省の頼昌星。 上海の陳良宇。 地方政府の利権が引き起こした巨大不正事件
3 グワンシの何が問題か?
  • グワンシのマイナス面。 破壊的効果、集団的盲目、ドミノ倒し、 企業の不安定化とイメージ悪化
  • 図式は、いま、 中央政府対地方政府の闘いに
4 グワンシのマイナス面は、今後、弱まっていくのか?
  • 制度の整備とともに、 グワンシのマイナス面の支配力は、 低下する
  • 中国政府のグワンシのマイナス面たる腐敗の一掃と、 ガバナンスへの取り組みは、 本気である
第4章 中国人社会における社会装置としてのグワンシ [古田茂美]
1 「法律」とグワンシでは、どちらが優先されるのか?
  • 中国ビジネスにおいて、 契約履行の信用を保証するのは、 法律の前にグワンシ
  • 中国は、西洋型の近代法概念を取り入れ、 全土に浸透させるには、 あまりに広大すぎた
  • いまも機能する 「韓非子」の信賞必罰の 制裁メカニズム
2 グワンシは何によってつくられるか?
  • 日本の「関係主義」は、組織対組織で、全体的「関係」からなる「場」を形成。 中国のグワンシは、人対人で、 無数の二者間「関係」からなる「ネットワーク」を形成。
  • 「縁」が、 人と人をつないでグワンシを構築する 接着剤の働きをする
  • グワンシを樹立する三つの条件
  • 「人情」もグワンシをつくる。 ただし、日本人の「人情」とは、 まったく異なる概念である
3 どのようにして、グワンシを築いていくのか?
  • グワンシを結んだ「自己人」と、 それのない「外人」では、 取引条件を変えるのはあたりまえ
  • 「外人」がグワンシを結び、 「自己人」になっていく四つの段階
  • 個人のグワンシによって、 第四段階まで、関係を築くことができた 日本企業の例
  • 従業員との間に、 グワンシをつくって成功した事例
  • 礼物と円卓を囲んでの食事は、 いまでも中国人との関係樹立に必須
  • 何を贈ったらよいのか? ギフトをもらったら、 どのように解釈すべきなのか?
4 日本企業と中国人従業員、すれ違いの理由
  • 中国における「公」は、 もともと、私的な資源をもちよる「共」の場である
  • 中国人従業員にとって、 会社という抽象的なものに忠誠心をもつことは 極めて不慣れで難しいこと
  • 中国人従業員は、自らを、被雇用者というよりも、 労働力という形の投資を行う 出資者だと考えているかもしれない
5 グワンシの拡大としての中国人ネットワーク
  • 世界に散らばるチャイナタウンは、 中国の人々の互助組織の典型であり、 いわば、グワンシの発展型である
  • 中国人のネットワークには、 互いに矛盾する規範が同居し、 それが大きな特徴となっている
第5章 グワンシをいかに活用するか?日本企業への実践的アドバイス [デイヴィッド・ツェ/古田茂美]
1 日系企業のスト事件、なぜ起こったか? [デイヴィッド・ツェ]
  • 日本企業に真っ先に必要なのは、 従業員との対話。 対従業員のグワンシ
  • 真の問題は、給与格差そのものではなく、 従業員を理解しようという センシティビティの不足
  • 従業員の立場になって、 彼らを理解すること。 優秀な人ではなく、適切な人を雇うこと
2 グワンシの肯定的側面を、いかに有効活用するか?[デイヴィット・ツェ]
  • グワンシで扉を開けたら、 後は、実績で、関係を築く
  • 日本企業によくあるケース 1 会社だけでなく、個人的に利益を得ようとする 中国人社員をどのように評価すべきか?
  • 日本企業によくあるケース 2 一人の中国人社員のグワンシに頼らないですますには、 どうしたらよいのか?
  • ダブルチェック、モニタリングは、 必要か?
3 中国人の特性を生かし学び、幸福な「関係」をつくる[古田茂美]
  • 同業他社への転職を祝い、 その後も、グワンシをもち続けることで 資源を増やすイオンの場合
  • 中国人の「公」への「私的関与」の特性を インセンティブとして、 モチベーション管理に活かす
  • 中国人の特性を活かし、 中国人の特性から学び、 幸福な関係をつくる
参考資料
香港大学商学院華人経営研究センター研究論文 『グワンシ(guanxi)』〜その有効活用と負の局面について〜 “When Does Guanxi Matter? Issues of Capitalization and Its Dark Sides”
あとがき

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