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がん治療の現在 ~光免疫療法の衝撃~免疫チェックポイント阻害薬 CAR-T細胞療法 腫瘍溶解性ウイルス療法 ゲノム医療
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がん治療の現在 ~光免疫療法の衝撃~免疫チェックポイント阻害薬 CAR-T細胞療法 腫瘍溶解性ウイルス療法 ゲノム医療

発売日 : 2020年12月18日
想定ページ数 : 288ページ
ISBN : 9784799326954
全文検索 : 非対応
これまでのがん治療とは異なる仕組みでがん細胞を攻撃する「光免疫療法」が、世界ではじめて日本で承認された。
光免疫療法では、まず狙ったがん細胞の表面に、魔法の銃弾ともよばれる抗体を結びつける。この抗体には、光感受性物質が取りつけられていて、光をあてると急激な化学反応を起こす。急激な変化によって細胞膜にはたくさんの穴が空き、そこから水が流れ込んで、がん細胞は破裂して死ぬ。
破壊されたがん細胞は、自らの目印となる物質をばら撒く。ばら撒かれた目印は体内の免疫を活性化させ、まだ残っているがん細胞を標的として叩く。
がん細胞だけを「光」で破壊し「免疫」で逃さない−−−がん治療の新たな選択肢となりうる画期的な治療法だ。

米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員によって開発されたこの療法は、有無をいわせずがんの細胞膜を破壊することから、楽天の三木谷浩史氏が「インターネットが世の中を変えると確信したときと同じ感覚」「これはいける」と確信して資金を提供し、異例のスピードで早期承認につながった。

本書では、驚くべき効果が期待できる光免疫療法を紹介するとともに、がん治療の最前線といえるさまざまな療法−−−なかでもとくに注目度が高い、がん医療の歴史を変えたといわれる「免疫チェックポイント阻害薬」、人工的にパワーアップされた攻撃力をもつ「CAR-T細胞療法」、ソフトクリームが溶けていくようにがん細胞を壊す「腫瘍溶解性ウイルス療法」、患者一人ひとりにあわせた「ゲノム医療」などについて解説する。

目次

はじめに
第1章 がんと免疫の戦略と駆け引き
がんは免疫から逃避する
長生きはよろこばしいことなのだが
免疫細胞たちは相手の弱点をみきわめ、戦術を展開する
免疫本来の力を回復させ、がん細胞への攻撃力を高める「免疫療法」
免疫療法の歴史と信用度
免疫にアクセルを踏ませるのではなく、ブレーキを外させる
免疫療法は「受けない」決断もときには必要
乳がんを発症するまえに切除を決断
第2章 がん光免疫療法 ~その驚異的な仕組み~
狙ったがん細胞をピンポイントで物理的に破壊する
有無をいわせず細胞膜に穴をこじ開ける破壊力
「光」で破壊し、「免疫」で逃さない
がんを攻撃する免疫を誘導する治療法
免疫細胞は生かしたまま、がん細胞だけを攻撃
「あっというまにがん細胞を殺す力がある。まるで誘導ミサイルだ」
1週間後には患部が縮まり、1カ月後にはほとんどみえなくなった
画期性や有効性でスピード承認が適用される
「インターネットが世の中を変える」と確信したときと同じ感覚
開発された薬は「RM−1929」と名づけられた
免疫療法よりもさらに新しい「第5の治療」となるか
第3章 がん光免疫療法~効果と安全性、実用化への道筋~
光免疫療法の臨床試験が続いている
イルミノックス
光免疫療法と似て非なる治療法
「失敗」と思われた実験が、光免疫療法の開発につながった
からみあったがん免疫の糸を解きほぐしたい
関西医科大に「光免疫医学研究所」を設置
薬価は高額となるが、原価の透明性を高めた
「医学研究者は、研究成果が患者さんのところに届くことを夢にみる」
第4章 がん光免疫療法 ~よせられる期待~
≪インタビュー≫ 田原信
≪インタビュー≫ ミゲル・ガルシア・グズマン
第5章 がん医療の歴史を変えた免疫チェックポイント阻害薬
がん治療の「第4」の選択肢となる
先まわりしてブレーキを踏ませない
成果はあがったが製薬会社が尻込みする
現場の医師から驚きの声があがる
免疫チェックポイント阻害薬が効かないケース
多様な併用療法によって治療効果を高める
医療機関でもわからないことが多くある
高額な薬剤費と「高額療養費制度」
≪インタビュー≫ 河上裕
第6章 人工的につくったCAR-T細胞の高い攻撃力
人工的にパワーアップされたT細胞
免疫チェックポイント阻害薬では効果があがらない
抗原認識部位と共刺激分子を組みあわせた人工細胞
「がんから解放されて8年!」と書かれたメッセージボード
もしこの治療をしなければ全員が死ぬことになる、という覚悟
サイトカイン放出症候群という副作用
1万個の抗体から決定的な1個をみつける
固形がんへの応用研究が進む
青虫の酵素でCAR-T細胞を安くはやくつくる
iPS細胞を使い、即戦力となる若いT細胞を大量培養
第7章 がん細胞で爆発的に増える腫瘍溶解性ウイルス
ソフトクリームが溶けていくようにがん細胞を壊す
遺伝子の「運び屋」ウイルスで再び脚光
正常細胞を残して、がん細胞だけを叩く
三つの遺伝子を抑えた「第3世代」ウイルス
「冷たい腫瘍」を「熱い腫瘍」に変える
免疫細胞に「みんな集まれ!」とよびかける
ウイルスが1日に10万~100万倍に増えてがん細胞を破壊
長期的にどのような影響を与えるか継続的にチェック
第8章 患者一人ひとりにあわせたがんゲノム医療
一人ひとりがベストの治療法を選ぶために
たくさんの遺伝子を一度に調べて、がんの特徴に一気に迫る
治療法がみつかるのは10人にひとり程度
遺伝子パネル検査は「最後の手段」か
「未承認薬などをいちはやく使いたい」思いに応える受け皿試験
日本は自前の検査体制を構築し、データベースをつくるべき
「まだ治療薬が承認されていない遺伝子を調べてどうするのか」
すべての遺伝情報を網羅的に調べる「全ゲノム解析」
生まれつきがんになりやすいか、わかる可能性も
「究極の個別化医療」の実現を目指して
≪インタビュー≫ 間野博行
第9章 正しい情報をみきわめて、正しい治療を
新しい治療法が次々開発され、情報は複雑化
もっとセカンドオピニオンを使ってほしい
「正しく、納得できる」判断ができるようにサポート
がんにかんするさまざまな情報の信頼度
「情報は、命を左右しかねません」
集まる「場所」があれば、困っているのは自分だけではないと気づける
「ひとりじゃないよ、と伝えたい」
おわりに

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