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実録・銀行 トップバンカーが見た 興亡の60年史
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実録・銀行 トップバンカーが見た 興亡の60年史

発売日 : 2018年2月25日
想定ページ数 : 480ページ
ISBN : 9784799322338
全文検索 : 近日対応
2016年日経「エコノミストが選ぶ経済図書」入賞 『ドキュメント 銀行』著者、最新作!

 本書では、一人の人間にスポットを当てる。その名は橋本徹。日本の3メガバンクの一つ、みずほ銀行の前身である富士銀行の頭取や、日本政策投資銀行の社長を務め、日本の金融界を代表する経営者の一人だ。
 橋本氏が銀行員になったのは、日本が高度成長期に入った1950年代である。以来、60年間にわたって激動する金融の世界に身を置き、荒波にぶつかってきた。最後はトップに上り詰めるが、経歴の中心は国際部門であり、まさに金融のグローバル化が加速する真っただ中で金融マンとしての人生を歩んできた。
 橋本氏の足跡は、金融の国際化の歴史そのものであり、橋本氏が経験したさまざまな試練は、邦銀が抱える構造問題が根っこにあるものばかりだ。そこで本書では、橋本氏の足跡をたどりながらグローバル金融資本主義の源流を探り、現在に至るまでの変遷を追う。

 英国の現地法人の設立、米国の大手ノンバンク買収、中南米の債務危機への対応、国内支店で起きた不正融資事件、住宅金融専門会社(住専)問題の処理、みずほグループの誕生など、金融史に残る数々の出来事に対峙する姿を、できる限り客観的に記述した。
 折に触れて、金融をめぐる時代背景を説明し、橋本氏がどこに立っているのかを把握できるように構成した。また、国際部門を中心に歩んできたにもかかわらず、金融資本主義には批判的な橋本氏の内面にも光を当て、自らの思想、信条とどのように折り合いをつけながら金融マン人生を送ってきたのかに迫った。
 内面の葛藤を抱えながらも、金融マン人生を全うしてきた橋本氏の生き方は、グローバル金融資本主義に疑問を感じたとしても、その中で生きていかざるを得ない現代人にとって大いに参考になるのではないだろうか。
(「はじめに」より)

目次

はじめに
第1章 手探りの国際化―終戦から内需主導の高度成長へ
1.フルブライト留学と米国の実像
  • 日本経済の再建には、貿易振興以外に道はなし
  • 夜間勤務が続く「外国部」
  • 銀行界では異質の「自由闊達」な行風
  • 狭き門の「フルブライト留学制度」に合格
  • 豊かな米国に忍び寄る影
2.カムカムおじさんと宣教師から学んだ英語
  • 日本に勝った米国の言語、英語に興味
  • 「カムカムおじさん」の英語番組のファンに
  • 英語とキリスト教が縁で結婚
  • 東大合格は「神様のおかげ」
  • 法律より英語に熱心だった東大時代
  • 米国旅行中、シカゴのキャバレーで無一文に……
  • 海外支店開設、信用力のシンボルに
  • ロンドンに続き、ニューヨークに進出
  • 世界最大の銀行・バンカメの「合理性」を知る
3.サンフランシスコか、ロサンゼルスか
  • 組合活動で聞いた行員たちの生の声
  • 外需より内需の貢献が大きかった日本の高度成長
  • 激しい預金獲得競争に世間から批判も
  • 米国の拠点開設、橋本にとって初の大仕事
  • 直接投資が急増、変わる企業の資金需要
  • 海外進出の壁となった大蔵省の「店舗行政」
  • 国内支店が閉鎖された理由
4.シティバンクの思惑
  • 30代前半で、重要ポスト「MOF担」の補佐に
  • シティバンクが望んだコンサル合弁事業
  • アジアでも提携、国際投資銀行を設立
第2章 オイルダラー争奪戦―石油ショックで成長に急ブレーキ
1.第一勧銀に奪われたトップの座
  • 広がる週休2日制、人材の確保を狙う企業
  • 第一勧業銀行が誕生、預金量1位の座を明け渡す
  • 「ニクソン・ショック」、固定相場制から変動相場制へ
2.産声を上げたロンドン証券現法
  • ロンドンに赴任し、合弁会社の社長に
  • 世界経済が激震の中、合弁会社が船出
  • 大蔵省の規制下で海外拠点を拡充
  • 証券界の反対受け、証券業務がストップ
  • 大蔵省、「3局合意」で急きょ門戸を開放
  • ようやく軌道に乗ったロンドンの証券ビジネス
3.支店にやってきたナポレオン
  • わずか9カ月で終わった支店勤務
  • 肩書きは「スペシャル・アシスタント・トゥ・ザ・プレジデント」
  • 「ナポレオン」の海外出張に随行
  • 実力会長が君臨、狂い始めた歯車
4.ヘラー社買収、暗号は「ホリデー」
  • ユーロ市場の不安、そして第2次石油ショックへ
  • 米国戦略の練り直しのため、国際企画部に赴任
  • 買収の最有力候補に躍り出たヘラー社
  • 暗号は「ホリデー」、秘密裏に進むビッグプロジェクト
  • またしても足かせとなった「大蔵省認可」
  • 過去最大、4億2500万ドルで買収成立
  • 「ホリデー」は終わったが、消えない悩み
  • 人生の節目で橋本を支え続けたイエスの教え
  • ついに、ヘラー社買収が完了
  • ブレイク社長が社員に送った手紙
  • 苦難乗り越え、ヘラー社を再建
第3章 つかの間の「オーバープレゼンス」―バブル急膨張でモラル喪失
1.収益ナンバーワンの呪縛
  • 富士銀行、「第2世紀」のスタート
  • 収益力を強化、経常利益、営業利益、当期利益でトップに
  • 日本の景気は回復、苦境に陥る主要国
  • メキシコが破産、米国の銀行が相次いで経営難に
  • プラザ合意により、急速に円高・ドル安に
2.焦げ付いた途上国融資
  • 途上国向け不良債権、買い取り会社で処理
  • 国際部門のエース、常務取締役に昇進
  • 最大のライバル、住友銀行にならって組織改革を断行
  • バブルが発生・膨張した背景
  • 明らかに行き過ぎた、個人ローンの強化
3.ウォルフェンソンとボルカーの助言
  • BIS規制の狙いは邦銀の牽制
  • 合弁により、M&Aの専門会社を設立
  • 収益のために、何をしてもいいのか
  • 他行との競争が過熱するも、首位にはなれず
  • 数は絞りつつも、相次いで海外拠点を設立
4.頭取就任と赤坂支店事件
  • 思いがけず舞い込んだ、頭取就任の打診
  • 大手銀行で最も若い頭取が誕生
  • 頭取就任早々、「赤坂支店事件」に見舞われる
  • 「収益ナンバーワン」路線を撤回、体質改善を経営目標に
  • 蔵相秘書も関与、混乱が広がる
  • 参考人として、衆参両院に招致される事態に
  • バブルの責任認めた元頭取
5.行員誘拐事件、犯人からの電話
  • 誘拐犯、最初の標的は頭取だった
  • なぜ富士銀行の行員が狙われたのか
  • 傷ついたイメージを回復するため、広報戦略に注力
  • 頭取には、いいことも悪いこともある
第4章 縮小に追い込まれた国際業務―バブル崩壊で不良債権が急増
1.石田梅岩の教え
  • 創業者、安田善次郎の顧客重視の精神に戻る
  • 眠れる審査機能を呼び覚ます
  • 梅岩の問答集に学ぶ商人道
  • 重い空気を変えるため、役員が全支店を訪問
  • 過去最大の経済対策でも、小さい効果
2.険しいサウンドバンキングへの道
  • 「ユニバーサルバンク」に込められた意図
  • 不良債権はどこまで膨らむのか
  • 本支店一体で、不良債権の処理に取り組む
  • 修正を迫られた「6年計画」
  • 大企業との距離開く銀行、中小・個人取引に照準
  • リテールマーケットは、新たな柱となったか
  • 海外戦略、頼みの綱は欧米からアジアへ
  • 海外でプロジェクトファイナンスの主幹事目指す
3.2信組が開けたパンドラの箱
  • 中小から大手へ、経営難に陥る金融機関が急増
  • 2つの信用組合が破綻、受け皿銀行設立へ
  • 2信組の「救済」に公的資金を投じる意味
  • 倒産処理をためらった2信組
4.住専問題に明け暮れる
  • 全銀協の会長に就任
  • 迫り来る、厄介な「住専」問題
  • 貸し手責任か、母体行責任か、公的資金の投入か
  • 大和銀行ニューヨーク支店事件、大蔵省・銀行界に追い打ち
  • ようやく決まった住専の処理策
  • 政界に広がる、銀行の経営責任を問う声
  • 橋本の頭取辞任は、「引責辞任」ではなかった
  • 頭取辞任の会見前日、橋本の思いは
  • そして、住専処理法が成立
第5章 海外市場で再起を期す―危機の連鎖で金融再編が加速
1.山一と安田信託のくびき
  • 金融ビッグバンがあおった市場主義
  • 消費税増税後、戦後最悪の景気後退へ
  • アジア通貨危機は、突然やってきた
  • 日本では、準大手の三洋証券、北海道拓殖銀行が破綻
  • 山一証券も自主廃業に追い込まれる
  • 「安田」の看板掲げる安田信託を守れ
  • 下がり続ける富士銀行の株価
  • 金融再生法で、長銀と日債銀が国有化
  • 健全化法により、総額7・5兆円の公的資金を銀行に注入
  • 第一勧銀との戦略的連携、経営統合の呼び水に
2.みずほ誕生の真相
  • 復活果たした米銀、秘訣は大型再編と総合金融化
  • トップ主導で進んだ興銀、第一勧銀との統合
  • 3行統合、それぞれの思惑
  • 合併寸前での破談を経験した富士銀行
  • 大手銀行4大グループ化の先鞭をつけた3行統合
  • 訪米中に、同時多発テロが発生
  • みずほの船出を襲った、システム障害
3.ドイツ証券流ダイバーシティ
  • 橋本、ドイツ証券東京支店会長に就任
  • 証券トップセールス、銀行で築いた人脈生かす
  • アドバイザリー・ボードのメンバーへ、相次ぐ就任要請
  • 財団の評議員、大学の理事長としても活躍
  • 会長退任直前に、リーマン・ショックが発生
4.政投銀の存在意義は
  • 2011年、政投銀の社長に就任
  • 「官から民へ」のスローガンのもと、特殊法人の整理・合理化が進行
  • 政投銀の完全民営化、さらなる延期へ
  • 「公的な色彩のある株式会社銀行」のスタンスを貫く
  • 投資銀行業務では、巨大案件も手がける
  • 社長在任中に、新機軸を次々に打ち出した橋本
  • 役職員に求める3つの精神とは
  • 橋本が影響を受けた陽明学者・山田方谷
  • 今なお大きな示唆をもたらす、方谷の藩政改革
  • 政投銀社長を退任、後任は生え抜き役員
  • 橋本の60年間は、日本の金融の国際化の歴史そのものだった
  • 「銀行とは、定期的にトラブルに巻き込まれるもの」
  • フィンテック、マイナス金利に直面する銀行、生き残る道は?
あとがき

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