セール中 カテゴリ一覧 著者一覧
なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?
0件
1,650円(税込)
獲得ポイント: 17pt
通常:
17pt

なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?

発売日 : 2015年10月22日
想定ページ数 : 288ページ
ISBN : 9784799317778
全文検索 : 非対応
「勤勉」「正直」「時間に正確」など、近代化と高度成長を支えた日本人の美徳と呼ばれるものは、江戸時代の思想家、石田梅岩によってつくられた。

 日本は江戸時代の間に、相当の発展を遂げていた。その力の源は、名もなき庶民だった。町人や農民は、実に勤勉で、猛烈に働いていたのだ。
 日本の民衆が、優れた労働者だったこと。これが、瞬く間に近代化できたことや、第二次大戦後、驚異的な速度で復興を遂げることのできた理由だ。指導者が、画期的な経済政策を思いついて、それによって経済力を向上させたのではない。優秀な労働者が、世界のどの国よりも多くいたことこそが、日本の経済的な強みだったのだ。

 なぜ、日本という国は、そのような条件を備えることができたのだろうか。この疑問への一つの回答が、石門心学という思想にある。
 石門心学は、京都の商人だった石田梅岩(1685~1744年)という人物が創始した学問だ。梅岩は、「人はどう生きるのが正しいのか」ということを、ひたすら考え抜いた。しかし、梅岩は人間のことだけを考察したのではなく、社会の構造や、さまざまな職業がどういった役割を果たしているのかについても、探求している。
 元々は商人だっただけあり、梅岩は商業のこと、そして経済のことを、皮膚感覚で理解していた。そして、商人を引退し思想家となってからは、商業や経済を明確な言葉で説明することにも、大いに注力した。

 梅岩の思想は、弟子たちによって日本中に広げられた。そして、さまざまな階級の人々が、これを熱心に学んだ。梅岩の思想は、毎日の仕事に大きな意味を付与してくれるものだったからだ。梅岩の考えを学んだ人々は、道徳的な向上を遂げ、感情と行為に自信を持ち、人間関係を和やかにすることに努めた。
 そして、道徳的向上を遂げた人々の多くは、仕事の成果も、以前よりよいものとなった。真面目で、周りに気を使う民衆が、一国の経済発展に貢献し始めたのだった。

目次

はじめに
第1章 日本人を勤勉にした男
日本経済は復活するのか
ペリー提督は「日本は米国の競争相手となる」と予見した
勤勉で技術力の高い江戸時代の職人たち
近代化の基盤は幕末にすでにあった
日本を変えた石門心学の開祖・石田梅岩
全国に広がった心学
「勤勉・倹約・正直」
日本経済の強みは「道徳力」にある
第2章 道徳なしに市場なし 石田梅岩とアダム・スミス
法律さえ破らなければ何をしてもいいのか
市場に参入する資格とは
人間とは「共感」する生き物だ
自分勝手な行為を慎む
梅岩は商人に道徳を説いた
道徳は人間の本性にある
すべての行為は公共のために
第3章 商業は正直から始まる
江戸時代、商人は賤しい存在とされていた
商人道とはどうあるべきか
共感される商行為をせよ
「商人の利は武士の禄に同じ」
梅岩は市場原理を見通していた
「二重の利」を取るな
正直者が栄える
第4章 倹約は自分のためだけではない
消費と倹約、どちらが正しい?
消費の暴走を食い止める倹約
江戸時代の倹約
倹約は世界のために
倹約で人間関係もよくなる
お金を使うことが倹約!?
本当の倹約はただの節約ではない
倹約は私欲に基づいてはいけない
倹約と日本人の美意識
第5章 仕事〈ワーク〉と人生〈ライフ〉を結びつける
宗教は道具にすぎない
宗教を使い分ける
仕事の意味を人々に教える
動物は心が曇っていない
仕事に打ち込むことが「形」の実践になる
「形」とは「自分の置かれた状況」
「自分の置かれた状況」で励む
第6章 現代に生きる心学の精神
天災に襲われても日常生活を続ける日本人
助け合いの社会
問題を自分のこととして受け止める
「もったいない」精神
従業員を大切に扱う
消費の欲望はどのように起こるのか
環境を批判する前に自分のあり方を反省する
第7章 江戸時代のドラッカー
江戸の商人は優秀だった
私欲は人間の本性ではない
社会的責任を果たすのは企業の義務
共同体の重要性
家族主義が見直され始めた
市民性と国民国家
梅岩にみられる市民性
位置と役割が人生を輝かせる
おわりに
主要参考文献

ユーザーレビュー

レビューがありません
書籍をシェアする