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福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書
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福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書

発売日 : 2021年2月19日
ISBN : 9784799327197
全文検索 : 非対応
シンクタンクの「日本再建イニシアティブ」は、2011 年 3 月 11 日に始まる東京電力福島第一原発事故が最悪の時期を脱した後、民間の独自の立場から福島原発事故独立検証委員会(委員長:北澤宏一前科学技術振興機構理事 長)─ 民間事故調─ を設置し、事故の検証を行い、そこから教訓を引き 出し、2012 年 2 月 28 日、それらを盛り込んだ調査・検証報告書を刊行しました。2011 年夏、民間事故調のワーキング・グループを立ち上げてから半年にわたる突貫作業でした。
8 年後の 2019 年夏、私たちは「福島原発事故 10 年検証委員会」を立ち上げました。いわば第二次民間事故調です。
2021 年 3 月 11 日の事故発生後 10 年のフクシマの真実に今一度正面から向かい合い、私たちが民間事故調で提起した課題と教訓をおさらいし、日本は そこからの教訓をどこまで学んだのか、実際のところ何をどのように活かしたのか、また、十分に学べなかったことは何なのか、それは何故なのか、要 するに「私たちは何を学んだのか」を検証するためです。
民間事故調は一言でいえば、「備え(response, preparedness, preven- tion)」に焦点を当てて検証しました。それに対して、今回の第二次民間事故 調は「学び」に照準を合わせて検証するのを目的としています。民間事故調の報告書は「最終章」(福島第一原発事故の教訓─ 復元力をめ ざして)においてフクシマの悲劇を「忘れてはならない」と結んでいます。 人間社会における悲劇的事件・事故・事象を常に検証し続け、そこから学び
続けることが、「忘れない」ことのもっとも真摯な実践であるはずです。このたび再び、民間事故調を設立し、「10 年後のフクシマ」を検証することにしたのはその実践の一環にほかなりません。しかし、実際のところ、「忘れない」ことを実践し続けるのはなかなかに難 しい営みであるということを痛感します。

福島原発事故を調査・検証した民間事故調は、報告書を作成し、それを世に問うに当たって、「真実・独立・世界」をモットーに掲げました。まず、調査・検証の前提である事実認定に当たっては当事者に直接、会って話を聞くことを心がけました。それは、証拠本位(evidence-based)の調 査に不可欠です。 次に、国家全体、社会全体への意味合い、つまり全体像を重視しました。日本の場合、行政も企業も司司のムラの虜となりがちで、「ムラと空気のガバナンス」の組織文化が生まれやすい。課題設定も解もタコツボ的な「部分最適解」になりやすい。そうではなくマルチ・ステークホールダーの利害関 心と視点を踏まえた「全体最適解」を追求することが大切です。それを効果 的に行うには、どこの虜でもない独立の立場の主宰力(convening power) が必要です。
さらに、検証によって得られた知見を世界と共有し、世界と対話し、そこ でのフィードバックを吸収し、それを世界の標準とルールの形成に活かすことを目指しました。日本は長い間、世界の標準・ルール形成において受け身で臨んできました。 フクシマの経験とそこでの教訓を世界と共有することで世界の原子力安全の 向上に資することは旧ソ連のチェルノブイリ事故に並ぶレベル 7 という史上 最大規模事故の原子力災害を起こした日本の責任にほかなりません。 今回も、こうした視点と視野を踏まえ、調査、検証するよう努めました。

目次

目次
はじめに 「国の形」は変わったのか?
謝辞
序章 第二次民間事故調の課題:「いつものパターン」は許さない
第1章 安全規制─不確かさへのアプローチ─
コラム1 消防車による原子炉注水
第2章 東京電力の政治学
コラム2 なぜ、米政府は4号機燃料プールに水はないと誤認したのか
第3章 放射線災害のリスク・コミュニケーション
コラム3 “過剰避難”は過剰だったのか
第4章 官邸の危機管理体制
コラム4 福島第二・女川・東海第二原発
コラム5 原子力安全・保安院とは何だったのか
第5章 原子力緊急事態に対応するロジスティクス体制
コラム6 日本版「FEMA」の是非
コラム7 求められるエネルギー政策の国民的議論
第6章 ファーストリスポンダーと米軍の支援リスポンダー
コラム8 2つの「最悪のシナリオ」
コラム9 「Fukushima50」─逆輸入された英雄たち
第7章 原災復興フロンティア
コラム10 行き場のない“汚染水”
コラム11 免震重要棟
終章 「この国の形」をつくる
年表
福島原発事故10年検証委員会 プロジェクトメンバーリスト
索引

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