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東大白熱ゼミ 国際政治の授業
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東大白熱ゼミ 国際政治の授業

発売日 : 2019年4月20日
想定ページ数 : 344ページ
ISBN : 9784799324455
全文検索 : 近日対応
テロ、難民、EU離脱、核・ミサイル、北朝鮮……
元外交官・東大教授×現役東大生が
「批判的思考」で世界の最重要課題に挑む!


* * *

◆僕が東大でゼロから国際政治を考える理由――「はじめに」より抜粋

あなたは、この日本がいま、平和だと思うだろうか。
ありきたりな質問だと反射的にページを閉じようとする前に、
少し立ち止まって、次のことを想像してみてほしい。

小さな海を隔てた向こう側にある国では、いくつもの核兵器関連施設が存在し、
今この瞬間にも核兵器の開発が着々と進められている。

74年前に広島・長崎を襲った核爆弾の何倍もの殺傷能力を持つ核ミサイルが、
1発や2発ではなく何十発も、僕らのいる日本列島を含む
世界に向けて発射できる態勢が整えられつつある。

気まぐれな指導者が発射スイッチを押さないという保証はない。

観光客で賑わう別のある国では、3つのグループに分かれた過激派組織が
コンサート・ホールやレストラン、カフェを次々と襲撃。
銃の乱射や自爆によって130人以上が死亡、300人以上が負傷した。

姿の見えない敵は、サイバー世界でも増殖を続けている。
ある国のハッカー集団は、国家の情報機関と関係を持ち、
日本も標的として、官公庁、防衛・ハイテク産業、
通信・交通・エネルギーなどのインフラ部門を攻撃している。

超大国の大統領はこれに対し、核兵器で応戦すると警告する。

さて、あなたはこれを聞いて、背筋が凍るような恐怖を覚えただろうか。
あるいは、不穏な時代の空気に、底知れない不安を感じただろうか。
それとも、お決まりの警句だと、いつものようにうんざりしただけだっただろうか。

もしそうだとしたら、本書はあなたのためにある。

世界の危機を伝えるニュースは毎日のように報じられ、
僕らはいとも簡単に感覚を麻痺させてしまう。
慣れてはいけないと言われても、同じようなことを何回も言われたら
誰だって慣れてしまうものだ。

でも、今この瞬間だけでもいいから、考えてみてほしい。

1930年代、昭和はじめの日本。大きな戦争もなく、
日々穏やかに暮らしていた人々は、数年後に日本が
大国アメリカと無謀な戦争を始めるなどとは思いもよらなかっただろう。
そして、見慣れたいつもの平和な街並みが
絶望的な焼け野原に姿を変えるとは、想像もしなかっただろう。

平和は、失われて初めてその大切さがわかると言う。
裏を返せば、僕らは目の前にある平和が当たり前のもので、
ある日突然失われてしまうなどとは思わずに今を生きているということだ。

しかしあなたは、平和を失ってもいいと思っているだろうか?
明日にも戦争が勃発して、1分先の未来もわからないような人生を送ってもいいと、
本気で思っているだろうか?

ノーと答えたのならば、あなたがやるべきことははっきりしている。
民主主義国家の一国民として、常日頃から世界の動きをフォローし、
平和や安全の問題を考え、外交はどうあるべきか、周りの人々と議論し、
小さくても何か具体的な行動につなげていくことだ。

ただでさえ忙しい毎日。仕事や人生に関係しそうにないことに
時間と労力を割くなんて億劫かもしれない。興味を持てないかもしれない。

それでも、少しでも考えること、「なぜ」と質問することから始めてみてほしい。
今の平和を続けていくためにも。
そして、そんな批判的思考がこれからのあなたの人生にも
きっと役に立つと、僕は信じている。

目次

はじめに─僕が東大でゼロから国際政治を考える理由
PART1 「国際政治」の本質を考える
第1回 国際社会の秩序とは何か
  • そもそも、「政治」とは?
  • 秩序を生むのは「権威」か、それとも「権力」か?
  • 国際社会に「先生」は存在するか?
  • 国家のあり方を変えた「怪獣」
  • 3人の思想家が口を揃えて言ったこと
  • 国際社会は「怪獣たちが生存競争を繰り広げているジャングル」
  • 「世界の警察官」を辞めたアメリカ
第2回 「世界連邦」は実現可能か
  • 「世界連邦」は生まれるか?
  • 「共通の敵」は本当にいるのか?
  • 「誰」が世界を動かすか
  • 民主主義と外交
  • パスポートに見る国家と個人の緊張関係
  • 優先するのは自国の利益か、普遍的な価値か
  • 国家がパワーを求める理由
PART2 「戦争と平和」で本当に大切なこと
第3回 社会にとって銃は悪か
  • 銃に脅かされるアメリカ社会の秩序
  • アメリカから銃がなくならない理由
  • なぜスイスでは銃乱射事件が起きないのか?
  • 「世界平和のための軍事力」は可能か
第4回 平和のための軍事力はどうあるべきか
  • 「集団安全保障」はなぜ機能しないのか?
  • 自衛のための「必要最小限の軍事力」とは?
  • それは「防御」のためか、「攻撃」のためか?
  • 「能力」と「意思」のどちらが問題か?
第5回 「核のない世界」は到来するか
  • 軍縮を進めるために必要なこと
  • 不平等な核保有が引き起こすこと
  • 「核のない世界」は実現可能か
  • 理想と現実の間をどう埋めるか
PART3 異なる正義と交渉するには
第6回 アジアの戦後秩序はどう作られ、変化したか
  • 戦後の秩序はどのようにして生まれたか
  • 戦後の東アジア秩序を生んだもの
  • 戦後アジア最大のプレイヤー誕生
  • 中国が関与したふたつの「熱戦」
  • なぜアジアの社会主義体制は崩壊しなかったのか
第7回 北朝鮮はなぜ核・ミサイルを手放さないのか
  • 「北朝鮮の非核化」と言わない理由
  • 「約束」だけで平和は訪れない
  • 「核の傘」をなくせるか
  • 国際政治に「絶対」はない
  • 北朝鮮が本当に求めていること
  • 日本も「他人ごと」ではいられない
第8回 模擬交渉:米朝会談を「実際に」やってみる
  • 交渉の本質とは何か
  • 交渉を有利に進める4つのテクニック
  • アメリカと北朝鮮、それぞれの要求とカード
  • 米朝模擬交渉スタート
  • 補足:核・ミサイル問題をめぐる世界の状況
PART4 最高の外交を実現するには
第9回 「国益」は誰のためか
  • 日本が抱える「国益」のトラウマ
  • あらためて「国益」とはなにか
  • 国家を支える経済の力
  • 日本の国益に見る「死活的国益」
  • ひとつの価値がすべてではない
  • 「力」が正義を決めるのか
第10回 パワーは国益をどう変えるのか
  • 社長がロールスロイスを乗り回す中小企業の末路
  • どうやって「身の丈を知る」か
  • 奴隷国家となるか、最後のひとりまで戦うか
  • ごり押しの文化政策がダメな理由
  • 永遠に変わらないもの
  • 目的のためには手段を選ばない
  • 価値に揺れる日中関係
おわりに─ ゼミを終えて
白熱ゼミまとめ─ あとがきに代えて
国際政治を学ぶ人のための参考書

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