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世界史から読み解く「コロナ後」の現代
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世界史から読み解く「コロナ後」の現代

発売日 : 2020年12月18日
想定ページ数 : 344ページ
ISBN : 9784799327005
全文検索 : 非対応
グローバリゼーションが強制終了した
「中世から近世の移行期」を振り返り
激動の「新・鎖国時代」の乗り越え方を学ぶ


2020年初頭から始まった「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)が、依然として猛威を振るいつづけている。
中国の武漢発のパンデミックは、まさに不意打ちのような形で全世界を襲っただけではない。
安全か経済かという、究極的で根源的な問いを突きつけている。

パンデミックによる外出制限は、「ロックダウン」や「ステイホーム」という形で、私たちの生活を直撃した。
生命を守るための外出制限は、感染拡大を防ぐために必要だったが、
経済活動が停滞してしまうと、仕事によって得られる報酬や、生きがいもまた失われてしまう。代償はきわめて大きいのだ。また、環境の激変によって、「リモートワーク」という、あらたな就業形態が常態化しつつある。
「新型コロナウイルス感染症」によるパンデミックが、これほど急拡大したのは、「グローバリゼーション」が進行していたからだ。すでに世界中のヒト・モノ・カネ・情報が密接につながりあっているのである。だからこそ、感染症もまた一気に全世界に拡大してしまうのだ。グローバリゼーションの経済的メリットは、きわめて大きなものがあったが、同時に負の側面もあったことを、私たちはどうやら失念していたようだ。
もしかすると、今回の新型コロナウイルスのパンデミックで、「グローバリゼーション」が終わったのではないだろうか。そんな問いをしてみる必要があるだろう。「不確実性」の霧のなかにいる私たちは、手探りでも前に進んでいくしかないのだが、これから世の中がどうなっていくか考えるためには、いったん過去に遡って歴史を振り返ってみるべきだろう。
2020年現在のいま終わりつつある「グローバリゼーション」は、歴史的には16世紀以来3度目のものだ。グローバリゼーションによって引き起こされたカオス状態は、その都度、地球レベルで大激動をもたらしてきた。だが、自然環境の激変による「異常気象」もその原因の1つとなって、カオス状態はあらたな安定状態に向けて動き出すことになる。安定するまでには長い時間がかかるだけでなく、その間にはまだまだ激動が続くだろう。とはいえ、最終的には状態は安定化していくはずだ。カオス状態は、あらたな秩序が形成されるための前段階でもある。
もちろん、「新型コロナウイルス感染症」の渦中にいる私たちには、はっきりと先が見えているわけではない。だからこそ、自分自身の経験ではなく、歴史に学ぶことが必要なのだ。環境が変わる以上、歴史がそのまま繰り返すことはないが、似たようなパターンが繰り返されてきたことは否定できないのである。
そこで本書では、16世紀後半に始まり、17世紀半ばに終息した「第1次グローバリゼーション」とその後について考えてみたいと思う。「コロナ後」に生きるための、ヒントなり教訓を見つけることができるはずだ。

目次

はじめに
第1章 新型コロナウイルス感染症(COVID─19)で「第3次グローバリゼーション」が終わった
「グローバリゼーション」は「近代資本主義」の運動
3次にわたるグローバリゼーション
「グローバリゼーション」の終わり方
「異常気象」が常態化し限界に達している地球と大転換期
第2章 「第1次グローバリゼーション」がもたらした地球規模の大動乱(16世紀)
「第1次グローバリゼーション」は地球規模の大変動をもたらした
  • 「第1次グローバリゼーション」は1571年に始まった
  • 16世紀には世界最強となっていたスペイン
  • 最初にポルトガルが動きだした
  • スペインが独立した1492年
  • 「トルデシリャス条約」による地球分割
  • 「地球分割」後のポルトガルの東漸と「海洋勢力」
  • 鄭和の艦隊とポルトガル艦隊は遭遇することはなかった
「コロンブスの交換」─ヨーロッパと「新大陸」は天然痘と梅毒を交換した
東アジアはグローバル経済の中心だった!─中国の巨大な引き寄せ力
  • 中国が世界最大の人口だった
  • 際だって生産性が高かった中国の「江南デルタ」
  • 中国と日本に引き寄せられていた西欧
  • ポルトガル人が登場する前のアジア
  • マラッカが東端となるインド洋経済圏、南端となるシナ海経済圏
  • 「交易の時代」の東南アジア
  • 「港市」として発展した東南アジア都市
  • 交易の結節点にあった港市マラッカ
  • 南アフリカ回りでインド洋からシナ海まで進出したポルトガル人
贅沢品のシルク(絹)を求めて世界中のシルバー(銀)が「巨大なブラックホール」中国に吸い込まれた
  • 世界最高級のシルクを生産していた中国
  • 銀を必要としていた中国
  • 「北虜南倭」状況で銀は南から北に流れた
  • 世界の銀の3分の1は日本が産出していた
  • 「新大陸」のシルバー(銀)が中国に流れ込んだ
  • 「銀経済圏」に入っていた西日本
スペインの対外拡張主義と未遂に終わった「中国征服計画」
  • フェリペ2世はなぜカトリック擁護にこだわったのか
  • 対外拡張主義とカトリック擁護が招いた財政破綻
  • 「アルマダの海戦」で「無敵艦隊」が敗れる
  • 宣教師たちが熱望していたスペインによる「中国征服」
日本で開発されたイエズス会の信者獲得メソッドは「異文化マネジメント」だった
16世紀最大の戦争「朝鮮の役」は「海洋勢力・日本」と「大陸勢力・中国」の激突
  • 「朝鮮の役」という名称について
  • 秀吉は天下統一の2年後に朝鮮に軍事侵攻
  • 本質的に日中の激突であった(大陸勢力vs海洋勢力)
  • 「朝鮮の役」は明朝にとっては「万暦の三征」の1つだった
  • 「朝鮮の役」は3段階
  • 朝鮮との国交回復はしたが、明との公式貿易は再開できなかった日本
  • 捕虜として日本に連れてこられた朝鮮人の帰還問題
軍事テクノロジーとしての「大砲と帆船」の組み合わせが西欧の優位性を生み出した
  • 近代ヨーロッパにおける軍事革命
  • ヨーロッパによる世界覇権の第一歩は「大砲と帆船」
  • 「大砲」の発達
  • 「帆船」がメインになる
第3章 「第1次グローバリゼーション」の終息(17世紀)
17世紀の「異常気象」がグローバリゼーションに強制終了をかけた
  • 17世紀には世界各地で人口が減少
  • 「17世紀の危機」は地球寒冷化がもたらした
  • 太陽活動の低下が寒冷化の原因
  • 寒冷化による食糧危機が引き起こしたもの
  • ヨーロッパでふたたびぶり返したペスト
  • 地球寒冷化の影響は東アジアでも
  • 日本は17世紀の危機を比較的うまく切り抜けた
ヒトの移動に制限はかけられたがモノ・カネ・情報は動き回っていた「鎖国」の実態
  • 「鎖国」とカッコ付きで書く理由
  • 「4つの口」をつうじてモノとカネ、そして情報が行き来していた
  • 「長崎口」は中国船とオランダ船
  • 「対馬口」と「琉球口」、そして「松前口」の先に見据えていた中国
  • 日本人になった外国人たち
  • 特別に許可された外国人は入国可能だった
  • 外国に漂流した日本人、日本に漂着した外国人
  • 幕府はつねに国際情勢に敏感だった
  • 軽武装の専守防衛体制だった江戸時代の日本
  • トラブルの原因となる日本人の出国を禁止
『ガリバー旅行記』(1726年)に登場する日本
哲学者カントは「鎖国」時代の日本を絶賛していた!
世界初の「ヘゲモニー国家」となったオランダの盛衰─掠奪から貿易へ
  • 新興国オランダ誕生前
  • オランダの独立と勃興
  • 日本とオランダの関係が始まった
  • オランダ東インド会社の設立
  • オランダ東インド会社のアジアネットワーク
  • 略奪経済から国際貿易に転換したオランダ
  • 東アジア海域からイングランドを締めだしたオランダ
  • オランダ東インド会社と会計システム
  • 手工業の発展
  • 干拓技術で世界初の「技術輸出国」となる
  • 風土と技術からみた「海洋国家オランダ」成立のメカニズム
  • フェルメールから見た「黄金時代」のオランダ
  • 「チューリップ・バブル」崩壊
  • オランダに嫉妬したイングランドが仕掛けてきた海戦
  • 「第1次英蘭戦争」(1652~1654年)
  • 「第2次英蘭戦争」(1665~1667年)
  • 「第3次英蘭戦争」(1672~1674年)
  • イングランドの「名誉革命」はオランダ衰退への道を開いた
ピョートル大帝と榎本武揚という、スケールの大きな2人の男のオランダ造船業を介した奇しき縁
「西欧近代」の原動力となった「カルヴァン主義」と「新ストア主義」
  • カルヴィニズムが資本主義を発達させた理由
  • カルヴァンは「利子」を正当化した
  • 商工業には都合のよい宗教だったカルヴィニズム
  • カルヴィニズムは「自由思想」を保証した
  • 「異端審問」と「魔女狩り」
  • イングランドとオランダにおける聖書の翻訳
  • 亡命ユグノーによる技術移転
  • 「規律」を準備したカルヴィニズムと新ストア主義
「郷に入っては郷に従え」宗教とビジネスの分離を主張した哲学者スピノザ
「主権国家」成立の時代─ウェストファリア体制確立の西欧 実質的に主権国家となっていた日本
  • 17世紀は「主権国家」の成立の時代
  • 「宗教改革」は西欧を政治的にも分裂させた
  • 最後の宗教戦争となった「三十年戦争」
  • 「傭兵」による掠奪と殺戮
  • 「絶対王政」を体験しなかった米国
  • 「三十年戦争」終結のイニシアティブを握ったスウェーデン
  • 「ウェストファリア条約」の締結(1648年)
  • 西欧とほぼ同時期に「宗教戦争」から足を洗った日本
  • 日本も西欧も「鎖国」政策をとっていた
『自省録』を愛読していたストイックな女王─スウェーデンのクリスティナ女王
「国民国家」はイングランドで生まれた─「反カトリック」政策で国民意識形成の日英
  • イングランドとフランスにだけあった「ロイヤル・タッチ」
  • 「国民国家」の原型はイングランドにあり
  • カトリック排除によって「主権国家」への道をつけたイングランド
  • 「ピューリタン革命」とよばれる内戦状態
  • 「名誉革命」後に「国教会」による「国民国家」へ
  • 幕府の「キリシタン禁教」と「反カトリック」政策に共通する手法
  • 17世紀以降の日本はプロテスタント国との関係を重視してきた
プロテスタントはコーヒー、カトリックはチョコレート
「棲み分け」が固定化した17世紀後半から18世紀にかけての東アジア
  • 財政危機に見舞われた明朝
  • 「前門の虎 後門の狼」状態だった朝鮮
  • 台湾がはじめて歴史に登場した17世紀─オランダの植民地時代
  • 「明の遺臣」たちが台湾を拠点に活動
  • 中国沿岸で強制移住政策が実行
  • 「棲み分け」が定着し固定化した18世紀の東アジア
  • 「交易の時代」が去ったのちの東南アジア
  • モノから始まった「脱中国化」
  • 東インド会社による「重商主義」の時代から「自由貿易」への転換
終章 ビジネスパーソンはグローバリゼーションが終わった「17世紀の世界史」から何を学ぶべきか
〈教訓1〉 激動期に必要なのはセルフコントロールだ!
〈教訓2〉 ヒトの移動は制限されたが、モノ・カネ・情報は動いていた「鎖国」で危機を乗り切った
〈教訓3〉 「グローバリゼーション」が終わっても混乱の終息に40年かかる
〈教訓4〉 「ローカル」を重視せよ! ネットの向こうにも「ローカル」がある
〈教訓5〉 源泉としての日本文化を深掘りせよ!
〈教訓6〉 情報に敏感になれ! 危機意識と先取精神が必要だ
終わりに
参考文献

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